日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

喉頭蓋炎,声門炎  (2022/8/16 更新)


臨床状況

  • 喉頭蓋および周辺組織の炎症.
  • 気道閉塞のリスクがあるため,気管切開セットを“ベッドサイドに"用意.
  • 吸気性喘鳴に注意して聴診すること.

病原体

  • 免疫正常の小児および成人
  • Streptococcus(A,B,C,F,G群)
  • S. pneumoniae
  • S. aureus(MRSAを含む)
  • H. influenzae b型(まれ)
  • 他の H. influenzae 莢膜型および分類不能型菌株
  • Moraxella catarrhalis
  • Coliformsはまれ:たとえば,Enterobacter 属,E. coliKlebsiella
  • Neisseria
  • Pasteurella multocida
  • さまざまなウイルス:呼吸器ウイルス(インフルエンザウイルス, パラインフルエンザウイルス),単純ヘルペスウイルス,水痘-帯状疱疹ウイルス,EBV
  • 免疫不全状態の小児および成人
  • P. aeruginosa
  • Candida

第一選択

  • 第一の目標は気道の確保.気管切開セットをつねに準備しておくこと.
  • 小児
  • CTX 50mg/kg静注8時間ごと,またはCTRX 50mg/kg静注24時間ごと)+VCM 60~80mg/kg/日静注3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす.コメント参照)
  • 成人
  • CTX 2g静注4~8時間ごと,またはCTRX 2g静注24時間ごと)+VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)

第二選択

  • IgE関連の重症ペニシリンアレルギーの場合
  • 小児
  • LVFX(コメント参照)16~20mg/kg/日(12時間ごとに分割,最大750mg/日)+CLDM 7.5mg/kg静注6時間ごと(コメント参照)
  • 成人
  • LVFX 750mg静注24時間ごと+CLDM 600~900mg静注6~8時間ごと

コメント

  • 注:腎機能が正常な乳児および年長児では,従来のVCM 45~60mg/kg/日ではしばしば目標AUCに到達できないことがある.AUC24を用いて400μg/mL近くになれば,ほとんどの非CNS感染に対しては十分(Clin Infect Dis 71: 1361, 2020).
  • 小児におけるLVFXの経験的治療は,重症のβラクタムアレルギーで緊急の場合には正当化される.
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2022/08/10