日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ロッキー山紅斑熱  (2026/01/13 更新)
ロッキー山紅斑熱,リケッチア性疾患


臨床状況

  • ロッキー山紅斑熱(RMSF)はダニが媒介するリケッチア性疾患であり,致命的になるおそれがある.米国で発症率が最も高いのは南東部および中南部の州.
  • 所見および症状
  • 発熱,発疹(95%),点状出血斑(40~50%).発疹は四肢遠位から体幹へ広がる.50%以上の患者では罹患後最初の72時間には発疹がみられないことがある.
  • エールリヒア症に類似する.発疹のパターンが診断上有用.
  • 死亡率が高いため早期治療が必要.RMSFを治療しなかった場合の死亡率は25~70%(MMWR Recomm Rep 65: 1, 2016
  • 死亡のリスク因子:年齢>60歳,治療の遅れ,DOXY使用なし
  • 流行地域でダニへの曝露があれば,DOXYによる経験的治療を早期に始めたほうがよい
  • 発疹がないという理由で治療を遅らせてはならない.発熱,発疹,ダニ咬傷歴(ダニ咬傷は痛みがない)がある患者はわずか3~18%で,短期間で死亡する例の多くは小児.MMWR 49: 885, 2000
  • RMSFが疑われる小児に対してDOXY使用をためらってはならない(<21日の使用なら安全).
  • 臨床診断:
  • 流行地域での発熱
  • ダニ咬傷があった,またはあった可能性がある
  • 発疹あり/なし
  • 診断は連続抗体価または皮膚生検での免疫組織学で確定することがある.
  • 小児11例,成人8例におけるRMSFによる髄膜脳炎(Clin Infect Dis 71: 188, 2020).Starry sky徴候(多発性の点状浸潤領域またはT2高信号域)が小児では全例のMRIでみられたが,成人にはみられなかった

病原体

  • R. rickettsii(カクマダニ)


イヌカクマダニ(Dermacentor variabilis tick),メス
DS: 背甲板(ornate dorsal shield)



イヌカクマダニ(Dermacentor variabilis tick),A:オス,B:メス
黄色矢印:背甲板,赤矢印:festoons

第一選択

  • DOXY 100mg経口または静注†1日2回・7日,または体温が正常化してから2日:
  • 重症例:初期用量を200mg静注†または経口12時間ごと・72時間にし,その後100mg静注†または経口1日2回を推奨する専門家もいる.
  • 妊婦:DOXYを上記と同様

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • CP 50mg/kg/日経口4回に分割・7日

治療期間

  • 上記処方参照

コメント

  • 流行地域では,発熱,発疹,ダニ咬傷歴のある患者では本症を疑う必要がある.
  • 流行地でもR. rickettsiiを保有するカクマダニは1%未満のため,ダニ咬傷のみの場合は予防投与は適応にならない.
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2026/01/13