日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

小児で推奨されるART処方  (2024/09/10 更新)


最初に

  • すべての小児に対して,治療開始時には少なくとも抗レトロウイルス薬3剤の併用療法が推奨される.薬剤の選択は,もととなるデータ,親の年齢,地域での薬剤の入手しやすさ,液剤の必要性などに左右される.ほとんどのガイドラインでは,どの年齢でもINSTIは好ましい処方に含まれていない
  • 可能ならば,そして特にNNRTIを考慮する場合はART開始前の小児における耐性検査を行う.周囲の耐性状況が明らかな場合は,耐性検査の必要性は変わりうる.
  • 通常は早急な治療開始が適応となるが,クリプトコッカス髄膜炎,結核,播種性M. avium complex感染の小児は例外.
  • アバカビルで治療する場合は,HLA B*5701スクリーニングによって過敏反応のリスクを実質的に除外できるため,可能な限り行う.

望ましい処方および第二選択

  • HIV感染乳児および小児に推奨される1st-line治療:DHHS,PENTA,WHOのガイドラインに基づく.
  • 注:
  • アバカビルを含む処方:HLA-B*5701遺伝子検査を行い,検査結果がHLA-B*5701陽性ならアバカビルを用いないこと.
  • 合剤は,体重のガイドラインに適切に合致する(およびテノホビルを含む処方ならSMR 4~5の)年長の小児に適切なことがあり,コンプライアンスを改善する可能性がある.
  • 例として,エムトリシタビン/テノホビル/エファビレンツ(Atripla);エムトリシタビン・テノホビル・コピシスタット・エルビテグラビル(スタリビルド);テノホビル・エムトリシタビン・リルピビリン(オデフシィ);ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン(トリーメク);アタザナビル/コビシスタット(Evotaz).
ガイドライン
処方のタイプ
年齢
処方
DHHS
好ましい処方
乳児(<生後14日)
2NRTI+(ネビラピンまたはラルテグラビル[体重>2kg])
新生児,≧生後14日,<3歳の乳児
2NRTI+(ロピナビル・リトナビルまたはラルテグラビル
乳児および小児,生後≧4週,体重≧3kg
2NRTI+ドルテグラビル
小児≧2歳,体重<14kg
2NRTI+(ドルテグラビルまたはビクテグラビル固定用量合剤)
小児≧12歳,SMR 4~5
成人ART処方を参照
好ましいNRTI処方
乳児,誕生~1カ月
ジドブジン+(ラミブジンまたはエムトリシタビン
アバカビル+(ラミブジンまたはエムトリシタビン
小児,生後>1カ月~2歳
[アバカビル+(ラミブジンまたはエムトリシタビン)または[テノホビルアラフェナミド+エムトリシタビン;≧14kgでINSTIまたはNNRTI処方を受けている場合]
小児≧2歳,SMR 1~3
アバカビル+(ラミブジンまたはエムトリシタビン)]または[≧25kgでINSTIまたはNNRTI処方で治療を受けている場合,テノホビルアラフェナミドエムトリシタビン
小児≧12歳,SMR 4~5
成人ART処方を参照
第二選択NRTI処方(+追加薬剤)
小児≧1カ月~≦6歳
ジドブジンアバカビル
ジドブジン+(ラミブジンまたはエムトリシタビン
小児≧6歳,SMR 1~3
ジドブジン+(ラミブジンまたはエムトリシタビン
小児≧2歳~12歳
テノホビルジソプロキシル+(ラミブジンまたはエムトリシタビン
第二選択処方
小児>14日~3歳
2NRTI+ネビラピン
小児≧4週~3歳
2NRTI+ロピナビル・リトナビル
小児≧3ヶ月~3歳
2NRTI+(アタザナビル/リトナビルまたはロピナビル・リトナビルまたはラルテグラビル
小児≧3歳,体重≧20kg~25kg
2NRTI+ドルテグラビル
小児≧3歳
2NRTI+(アタザナビル/リトナビルまたはロピナビル・リトナビルまたはドルテグラビル/リトナビルまたはEfavirenz
小児≧3歳,体重≧25kg
2NRTI+(エルビテグラビル/コビシスタット
小児≧3歳,体重≧35kg
2NRTI+ドラビリン
青少年≧12歳,SMR 1~3
≧3歳小児および2MRTI+[リルピビリンまたはドルテグラビル/コビシスタット]と同様
青少年≧12歳,SMR 4~5
成人ART処方を参照
WHO
好ましい処方
新生児
ジドブジンラミブジンラルテグラビル
小児
ジドブジンラミブジンドルテグラビル
青少年>10歳
テノホビルジソプロキシル+(ラミブジンまたはエムトリシタビン)+ドルテグラビル
第二選択処方
新生児
ジドブジンラミブジンロピナビル・リトナビル
小児
アバカビルラミブジン(またはネビラピン)またはジドブジンラミブジンEfavirenz(またはネビラピン)またはアタザナビルラミブジンロピナビル・リトナビル(またはラルテグラビル
青少年>10歳
テノホビルジソプロキシルラミブジン(またはエムトリシタビン)+Efavirenz 600mgまたはジドブジンラミブジンEfavirenz 600mgまたはテノホビルジソプロキシルラミブジン(またはエムトリシタビン)+PI/リトナビルまたはテノホビルジソプロキシルラミブジン(またはエムトリシタビン)+ラルテグラビルまたはテノホビルアラフェナミドラミブジン(またはエムトリシタビン)+ドルテグラビルまたはアバカビルラミブジンドルテグラビル

DHHS:HIV感染小児の抗レトロウイルス治療および医学管理に関する研究班.HIV感染小児における抗レトロウイルス薬使用のガイドライン(2019年4月17日).

WHO:WHO.統一ARVガイドライン2019年改訂.WHOのウェブサイトから入手可.


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2024/09/09