日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

カレトラ(LPV/RTV)  (2023/11/21 更新)
主な商品名:カレトラ

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

 3. 小児用量

新生児(生後<14日)
推奨されない
乳児(生後14日~12カ月)
(ネビラピン,エファビレンツ,ホスアンプレナビル,Nelfinavir併用がない場合)
(ロピナビル300mg/リトナビル75mg)/m21日2回
体重別用量:
(ロピナビル16mg/リトナビル4mg)/kg1日2回
年齢>12カ月~18歳
(既治療の場合好ましい処方)
(ロピナビル300mg/リトナビル75mg)/m21日2回
体重別用量:
体重<15kg:(ロピナビル13mg/リトナビル3.25mg)/kg1日2回
体重≧15kg~45kg:(ロピナビル11mg/リトナビル2.75mg)/kg1日2回
年齢>12カ月~18歳
(未治療の場合のみに対する代替処方)
(ロピナビル230mg/リトナビル57.5mg)/m21日2回
体重別用量:
体重<15kg:(ロピナビル12mg/リトナビル3mg)/kg1日2回
体重≧15kg~40kg:(ロピナビル10mg/リトナビル2.5mg)/kg1日2回
(ロピナビル100mg/リトナビル25mg)錠剤を用いた,小児および青少年に対する体重別用量
(ロピナビル300mg/リトナビル75mg)/m21日2回を目標とした場合
体重15kg~20kg:2錠1日2回
体重>20kg~25kg:3錠1日2回
体重>25kg~30kg:3錠1日2回
体重>30kg~35kg:4錠1日2回
体重>35kg~45kg:4錠1日2回
体重≧45kg:4錠1日2回(ネビラピン,エファビレンツ,ホスアンプレナビル,Nelfinavirを併用時は5錠1日2回)

(ロピナビル230mg/リトナビル57.5mg)/m21日2回を目標とした場合
体重15kg~20kg:2錠1日2回
体重>20kg~25kg:2錠1日2回
体重>25kg~30kg:3錠1日2回
体重>30kg~35kg:3錠1日2回
体重>35kg~45kg:4錠1日2回
体重≧45kg:4錠1日2回

 4. 腎障害時の用量調整

 5. 肝障害時の用量調整

2. 副作用

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

薬剤
ロピナビル(LPV)
リトナビル(RTV)
分類
プロテアーゼ阻害薬(PI)
PI(効果増強薬)
PK/PD指標
データなし
データなし
剤形
錠剤:LPV 200mg/RTV 50mg,LPV 100mg/RTV 25mg†
経口溶液:LPV 80mg/RTV 20mg/mL.
錠剤の保存
室温で保存
経口溶液の保存
最適な状態のためには冷蔵
室温(<25℃)でも2カ月は保存可能
通常成人用量
LPV 400mg/RTV 100mg経口1日2回
FDAの妊娠危険区分
ヒトでは毒性のエビデンスなし
動物:ラットで毒性
経口剤の投与のタイミング1
錠剤:食事の影響なし
経口溶液:食事とともに
経口吸収率2(%)
データなし
データなし
Tmax3(時間)
4.4(錠)
データなし(カレトラの成分としての)
最高血清濃度4(μg/mL)
9.8(SS)
データなし(カレトラの成分としての)
蛋白結合(%)
>98
98~99
平均血清半減期5(T1/2, 時間)
6.9(錠)
3~5
細胞内半減期(T1/2, 時間)
データなし
データなし
中枢神経系移行効果(CPE)6
3
1
脳脊髄液/血液7(%)
データなし
データなし
分布容積8(Vd)
16.9L(錠,V/F)
0.41 L/kg(V/F)
AUC9(μg・時間/mL)
185.2(AUC 0-24
データなし(カレトラの成分としての)
チトクロームP450,トランスポーターとの相互作用
基質:3A4
阻害:3A4
基質:3A4, PGP
阻害:2D6, 3A4, PGP
長期誘導の可能性:1A2, 2B6, 2C9, 2C19, 3A4, PGP, UGT1A1

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. 健康な状態での吸収率
  3. Tmax:薬剤投与後,血漿中濃度が最大になるまでの時間
  4. 総薬剤量;遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
      SD:単回投与後
      SS:複数回投与後の定常状態
  5. CrCl>80 mL/分と想定
  6. CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
  7. 炎症時における脳脊髄液濃度
  8. 分布容積(Vd):
      V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能)
      Vss:定常状態におけるVd
      Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  9. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
Alfuzosin
Alfuzosin↑
併用禁忌
アミオダロン
アミオダロン↑
モニター,用量調整
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
モニター,用量調整
アトバコン
アトバコン↓
モニター,用量調整
アバナフィル
アバナフィル↑
併用を避ける
ベダキリン
ベダキリン↑
併用を避ける
ベプリジル
ベプリジル↑
モニター,用量調整
ボセンタン
ボセンタン↑
モニター,用量調整
ブプロピオン
ブプロピオン,代謝物↓
モニター,用量調整
カルバマゼピン
LPV↓
併用を避ける
クラリスロマイシン
クラリスロマイシン↑
腎障害ではクラリスロマイシンの用量を調整
コルヒチン
コルヒチン↑
腎および/または肝障害では併用禁忌,それ以外ではコルヒチンの用量を調整
コルチコステロイド(デキサメタゾン以外)
コルチコステロイド↑
用量調整,CYP3A4基質でないものを使用
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
ダサチニブ
ダサチニブ↑
モニター,用量調整
デキサメタゾン
LPV↓,デキサメタゾン↑
併用を避ける
ジスルフィラム
ジスルフィラム反応
併用を避ける(カレトラ溶液)
Dronedarone
Dronedarone↑
禁忌
Elbasvir/Grazoprevir
ALT上昇
禁忌
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角誘導体
麦角誘導体↑
禁忌
フェロジピン
フェロジピン↑
モニター,用量調整
フェンタニル
フェンタニル↑
モニター,用量調整
ホルモン避妊薬
エチニルエストラジオール↓
ホルモン以外の避妊法を用いる
イサブコナゾニウム硫酸塩
ISCZ↑
併用を避ける
イトラコナゾール
イトラコナゾール↑
モニター,用量調整
ケトコナゾール
ケトコナゾール↑
モニター,用量調整
ラモトリギン
ラモトリギン↓
モニター,用量調整
リドカイン
リドカイン↑
モニター,用量調整
ロバスタチン
ロバスタチン↑
禁忌
ルラシドン
ルラシドン↑
禁忌
メサドン
メサドン↓
モニター,用量調整
メトロニダゾール
ジスルフィラム様反応
併用を避ける(カレトラ溶液)
ミダゾラム(静注)
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ミダゾラム(経口)
ミダゾラム↑
禁忌
ニカルジピン
ニカルジピン↑
モニター,用量調整
ニフェジピン
ニフェジピン↑
モニター,用量調整
ニロチニブ
ニロチニブ↑
モニター,用量調整
その他のARV
抗レトロウイルス薬間の薬物相互作用参照
フェノバルビタール
LPV↓
併用を避ける
フェニトイン
LPV, フェニトイン↓
併用を避ける
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
クエチアピン
クエチアピン↑
用量調整または避ける
キニジン
キニジン↑
モニター,用量調整
Ranolazine
Ranolazine↑
禁忌
リファブチン
リファブチン,代謝物↑
モニター,用量調整
リファンピシン
LPV, RTV↓,リファンピシン↑
禁忌
リバーロキサバン
リバーロキサバン↑
併用を避ける
ロスバスタチン
ロスバスタチン↑
モニター,ロスバスタチン最大10mg1日1回
サルメテロール
サルメテロール↑
併用を避ける
シルデナフィル(EDに対して)
シルデナフィル↑
モニター,シルデナフィル最大25mg48時間ごと
シルデナフィル(肺動脈性肺高血圧に対して)
シルデナフィル↑
禁忌
Simeprevir
Simeprevir↑
併用を避ける
シンバスタチン
シンバスタチン↑
禁忌
シロリムス
シロリムス↑
モニター,用量調整
セイヨウオトギリソウ
LPV, RTV↓
禁忌
タクロリムス
タクロリムス↑
モニター,用量調整
タダラフィル(EDに対して)
タダラフィル↑
モニター,タダラフィル最大10mg72時間ごと
タダラフィル(肺動脈性肺高血圧に対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
テノホビルジソプロキシル
テノホビル↑
モニター
トラゾドン
トラゾドン↑
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↑
禁忌
バルプロ酸
バルプロ酸↓
モニター,用量調整
バルデナフィル
バルデナフィル↑
モニター,バルデナフィル最大2.5mg72時間ごと
ビンブラスチン
ビンブラスチン↑
モニター,必要なら避ける
ビンクリスチン
ビンクリスチン↑
モニター,必要なら避ける
Venetoclax
Venetoclax↑
モニター,Venetoclaxの添付文書をチェック
Viekira(Pak,徐放錠)
Ombitasvir, Paritaprevir, RTV↑
併用を避ける
ボリコナゾール
ボリコナゾール↑
併用を避ける
ワルファリン
ワルファリン↑↓
INRをモニター,用量調整

6. コメント

SARS-CoV2に対する臨床的有用性はない

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2023/11/20