日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Atazanavir  (2024/07/23 更新)
ATV

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

†:日本にない剤形

 2. 成人用量

用量
(リトナビルなし)
400mg経口24時間ごと,食事とともに
リトナビルと併用しない場合,併用時に比べ効果は劣る(Nelfinavirと同等).
リトナビル併用療法
好ましい
(ATV 300mg経口24時間ごと+リトナビル100mg経口24時間ごと,食事とともに)はART既治療患者に推奨される.
エファビレンツ600mg経口24時間ごと,またはテノホビル300mg経口24時間ごととの併用でも用いられる.
buffered Didanosineと用いる場合には,Didanosine服用2時間前または1時間後に食事とともに服用する.

 3. 小児用量

  
用量(生後>28日)
最大/日
散剤†
生後<3ヶ月:推奨されない
生後≧3ヶ月
体重 5~<15 kg:ATV200mg24時間ごと+リトナビル80mg24時間ごと
体重15~<25 kg:ATV250mg24時間ごと+リトナビル80mg24時間ごと
体重≧25kg:ATV300mg24時間ごと+リトナビル100mg24時間ごと


カプセル
年齢<6歳:推奨されない
年齢≧6歳:
体重<15kg:推奨されない
体重15~<35 kg:ATV 200mg24時間とと+リトナビル100mg24時間ごと
体重≧35 kg:ATV 300mg24時間ごと+リトナビル100mg24時間ごと(またはコビシスタット150mg24時間ごとを代わりに使用してもよい)
年齢≧13歳:体重≧40kgでART未治療,リトナビルに不耐で,TAF,TDFが使用されていなければ,ATV 400mg24時間ごと

†:日本にはない剤形

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
約7
半減期(時間)(ESRD)
データなし
用量(腎機能正常)
300mg経口24時間ごと(リトナビル併用の場合)
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
血液透析
ART既治療の場合は用いない
CAPD
データなし
CRRT
データなし
SLED
データなし

肝障害患者では用量調整が必要なことがある.

 5. 肝障害時の用量調整

Child-Pughスコア7~9:300mg 24時間ごと

Child-Pughスコア>9:使用しない

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

分類
プロテアーゼ阻害薬
剤形
カプセル(150,200,300†mg)
経口散剤†(50mg)
食事に関する推奨(経口薬)1
カプセル/散剤:食事とともに服用
経口吸収率(%)
低pHなら良好
Tmax(時間)
2.5
最高血清濃度2(μg/mL)
2.3(400mg24時間ごと,SS)
蛋白結合(%)
86
分布容積3(Vd)
88.3 L(V/F)
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
約7
排泄(%)
代謝
細胞内半減期(T1/2, 時間)
データなし
脳脊髄液/血液5(%)
データなし
中枢神経系移行効果(CPE)6
2
AUC7(μg・時間/mL)
22.3(400mg24時間ごと,0~24時間)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. 炎症時における脳脊髄液濃度
  6. CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
  7. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CYP450の基質
3A4
トランスポーターの基質
PGP
CYP450の阻害
1A2,2C8,3A4
トランスポーターの阻害
UGT1A1
CYP450誘導
 
トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アミオダロン
アミオダロン↑
モニターまたは避ける
抗酸薬
ATV↓
ATVを2時間前または1時間後に投与
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
モニター,用量調整
ベプリジル
ベプリジル↑
モニターまたは避ける
ボセンタン
ATV↓,ボセンタン↑
ATVだけとの併用は推奨されない,ATV+リトナビルを使用する場合は用量調整
ブプレノルフィン
ブプレノルフィン↑,ノルブプレノルフィン↑
モニター,用量調整
カルバマゼピン
ATV↓,カルバマゼピン↑
用量調整または避ける
クラリスロマイシン
クラリスロマイシン↑,14-OHクラリスロマイシン↓,ATV↑
用量調整または避ける
コルヒチン
コルヒチン↑
腎/肝障害患者での併用は推奨されない,使用するなら用量調整およびモニター
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑
モニター,用量調整
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオール↓
モニター,用量調整,あるいは他の方法を用いる
フェロジピン
フェロジピン↑
モニター,用量調整
フルチカゾン
フルチカゾン↑
併用を避ける
H2ブロッカー
ATV↓
上記薬理学の表参照
イトラコナゾール
イトラコナゾール↑
モニターまたは避ける
ケトコナゾール
ケトコナゾール↑
モニターまたは避ける
ラモトリギン
ラモトリギン(リトナビル併用ATVのみ)
モニター,用量調整
Lenacapavir
Lenacapavir ↑
併用を避ける
リドカイン
リドカイン↑
モニターまたは避ける
ルラシドン
ルラシドン↑
ATV/リトナビルは禁忌:ATV単剤を用いるなら用量調整
ミダゾラム経口
ミダゾラム↑
禁忌
ミダゾラム静注
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ニカルジピン
ニカルジピン↑
モニター,用量調整
ニフェジピン
ニフェジピン↑
モニター,用量調整
Norethindrone
Norethindrone↑
モニター,他の方法を考慮
Norgestimate
Norgestimate↑
モニター,他の方法を考慮
オメプラゾール
ATV↓
上記薬理学の表参照
その他のARV薬
抗レトロウイルス薬間の薬物相互作用を参照
フェノバルビタール
ATV↓,フェノバルビタール↓
用量調整または避ける
フェニトイン
ATV↓,フェニトイン↓
用量調整または避ける
クエチアピン
クエチアピン↑
用量調整または避ける
キニジン
キニジン↑
モニターまたは避ける
リファブチン
リファブチン↑
モニター,用量調整
ロスバスタチン
ロスバスタチン↑
ロスバスタチン最大用量10mg/日
サルメテロール
サルメテロール↑
併用を避ける
シルデナフィル(EDに対して)
シルデナフィル↑
モニター,用量調整
シルデナフィル(肺動脈性肺高血圧に対して)
シルデナフィル↑
禁忌
シロリムス
シロリムス↑
モニター
ソホスブビル/Velpatasvir/Voxilaprevir
Voxilaprevir↑
併用を避ける
タクロリムス
タクロリムス↑
モニター
タダラフィル(EDに対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
タダラフィル(肺動脈性肺高血圧に対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
テノホビルジソプロキシル
テノホビル↑
モニター
トラゾドン
トラゾドン↑
モニター,用量調整
三環系抗うつ薬(TCA)
TCA↑
モニターまたは避ける
バルデナフィル
バルデナフィル↑
モニター,用量調整
ベラパミル
ベラパミル↑
モニター,用量調整
ボリコナゾール
ATV↓,ボリコナゾール↓↑
併用を避ける
ワルファリン
ワルファリン↑,INR↑
INRをモニター,用量調整
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2024/07/22