リトナビル (2022/9/6 更新)
RTV 主な商品名:ノービア
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「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい. →日本の添付文書情報検索サイト
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
1. 用法および用量
1. 使用
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リトナビルフルドーズは推奨されない.ほぼ例外なく他のプロテアーゼ阻害薬(PI)の薬物動態をブーストあるいは増強するために,低用量で用いられる.COVID-19治療ではパキロビッドの一部として,ニルマトレルビルの生物学的利用能の増強のために用いられる(注:リトナビルまたはコビシスタットを含む抗レトロウイルス治療を受けている患者では,用量調整不要).
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悪心・嘔吐・下痢,四肢・口周辺の異常感覚,肝炎,膵炎,味覚異常,CPK・尿酸上昇.
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警告(Black Box warnings)-致命的な薬物相互作用の可能性.抗レトロウイルス薬間の薬物相互作用を参照.
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錠剤,経口溶液(ひどい味),経口粉末†(通常,100mg単位のみ)が利用可能.
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経口溶液はエタノールを43%(v/v),プロピレングリコールを約27%(w/v)含むため,小児(錠剤を飲み込めない場合)には経口溶液よりも経口粉末†の方が望ましい.
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ロピナビル・リトナビル,サキナビルを参照.
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一部のHCVプロテアーゼ阻害薬(たとえば,Paritaprevir)の薬理学的ブースターとしても使われる.
†:日本にはない剤形
2. 成人用量
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他のPIと併用して使用.リトナビルの用量は併用する各薬剤を参照.
3. 小児用量
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350~400mg/m21日2回(ただし推奨されない).併用薬の薬理学的効果増強のために用いられる
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新生児:用量は確立されていない.450mg/m21日2回では成人での目標よりも曝露は少ない
4. 腎障害時の用量調整
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腎でのクリアランスは無視できる.現在までの患者データはない
5. 肝障害時の用量調整
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用量に関する推奨はない.肝障害があれば注意して使用
2. 副作用
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肝不全(Ann Intern Med 129: 670, 1998).多くの重要な薬剤相互作用があることについて警告(Black Box warnings)が出されている-P450 CYP3A4,2D6系の阻害は致命的となりうる.
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まれにStevens-Johnson症候群,アナフィラキシー.原発性房室ブロック(高度)と膵炎が報告されている.
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消化器系:苦みが残る.チョコレートミルクやエンシュアリキッドまたはAdveraと一緒に服用すると苦味が軽減.悪心が23%でみられ,最初に徐々に増量する方法(漸増法)をとると軽減できる.嘔吐13%,下痢15%.
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口周囲の異常感覚5~6%.>100mg1日2回に増量すると消化器系の副作用と脂質異常が多くなる.
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
薬効分類
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プロテアーゼ阻害薬(PI)
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PK/PD指標
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データなし
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剤形
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錠剤:100mg 経口溶液:80mg/mL 経口粉末†:100mgパケット
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通常成人用量
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ブースターとしての用量はさまざま
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FDAの妊娠危険区分
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B
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経口剤の投与のタイミング1
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経口剤はすべて食事とともに服用
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経口吸収率2(%)
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65
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最高血清濃度3(μg/mL)
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11.2(600mgソフトゲルカプセル1日2回 SS)
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蛋白結合(%)
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98~99
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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3~5
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細胞内半減期(T1/2, 時間)
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データなし
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排泄(%)
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CYP3A4で代謝され,代謝物は糞便中に排泄される
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中枢神経系移行効果(CPE)5
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1
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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分布容積7(Vd)
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0.41 L/kg (V/F)
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AUC8(μg・時間/mL)
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121.7(600mg経口溶液1回)
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相互作用
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基質:3A4,PGP 阻害:2D6,3A4,PGP 長期の誘導の可能性:1A2,2B6,2C9,2C19, 3A4,PGP, UGT1A1
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Tmax9(時間)
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2~4(溶液)
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†:日本にない剤形
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注記のない場合は成人用製剤
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健康な状態での吸収率
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総薬剤量;遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
SD:単回投与後
SS:複数回投与後の定常状態
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CrCl>80 mL/分と想定
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CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
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炎症時における脳脊髄液濃度
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分布容積(Vd):
V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能)
Vss:定常状態におけるVd
Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve
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Tmax:薬剤投与後,血漿中濃度が最大になるまでの時間
5. 主要な薬物相互作用
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