日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版 |
人工関節感染 (2024/02/20 更新) |
臨床状況
診断/病原体
第一選択
病原菌 |
処方 |
MSSA/MSSE |
[(Nafcillin 2g静注4時間ごとまたはOxacillin 2g静注4時間ごと)+RFP 300mg経口1日2回]または(CEZ 2g静注8時間ごと+RFP 300mg経口1日2回)・2~6週,その後[(CPFX 750mg経口1日2回またはLVFX 750mg経口24時間ごと)+RFP 300mg経口1日2回]・3~6カ月(全股関節形成術では3カ月で十分かもしれない). 分離株がフルオロキノロン系とRFPにin vitroで感受性があることを確認(コメント参照) レトロスペクティブ研究では,予定されていなかった薬物中断が起こったのは,フルオロキノロン系薬治療患者では35.6%,非フルオロキノロン系薬治療患者では3%だった(Clin Infect Dis 73: 850, 2021;Clin Infect DIs 73: 357[論説]). |
MRSA/MRSE |
(VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと+RFP 300mg経口1日2回)・2~6週,その後[(CPFX 750mg経口1日2回またはLVFX 750mg経口24時間ごと)+RFP 300mg経口1日2回]・3~6カ月(全股関節形成術では3カ月で十分かもしれない). 分離株がフルオロキノロン系とRFPにin vitroで感受性があることを確認(コメント参照). |
Streptococcus属(A,B,C,D群, viridansその他) |
PCG 2000万単位持続静注24時間ごとまたは6回に分割,またはCTRX 2g静注24時間ごと・4~6週 注:人工関節を除去および交換した場合に比べ保存では予後が不良(Clin Infect Dis 64: 1742, 2017) |
Enterococcus属(コメント参照) |
ペニシリン感受性:ABPC 200mg/kg/日静注6時間ごとに分割,またはPCG 2000万単位/日持続静注または6回に分割・4~6週 ペニシリン耐性:VCM 15mg/kg静注12時間ごと・4~6週 |
Cutibacterium(Propionibacterium) acnes |
PCG 2000万単位持続静注または6回に分割,またはCTRX 2g静注24時間ごと・4~6週 |
グラム陰性腸内桿菌 |
Ertapenem 1g静注24時間ごと,または他のβラクタム薬(たとえばCTRX 2g静注24時間ごとまたはCFPM 2g静注12時間ごと,感受性に基づいて)・4~6週 |
P. aeruginosa(コメント参照) |
(CFPM 2g静注12時間ごとまたはMEPM 1g静注8時間ごと)±TOB 5.1mg/kg1日1回静注・4~6週 |
1段階交換方法 |
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MSSA/MSSEまたはMRSA/MRSE |
上記と同様の静注または経口処方・3カ月 |
上記の他の病原菌 |
上記と同様の処方・4~6週 |
2段階交換方法 |
治療の奏効を評価するために再移植前にESRとCRPを測定する.再移植前に培養のために関節腔の吸引を行うこともある.この方法は抗菌薬含有セメントスペーサーが存在する場合には問題となる場合もある. |
MSSA/MSSEまたはMRSA/MRSE |
静注または経口処方・感染した人工関節の除去後6週(IDSAガイドラインでは,人工関節や人工物がすべて除去されている場合は,VCMやβラクタム薬注射剤とRFPの併用をルーチンでは推奨していない.ただしRFPはMRSAやMRSEに多く使用されており,そうした場合にはCPFXまたはLVFXと併用する) |
上記の他の病原菌 |
上記と同様の処方・4~6週 |
第二選択
病原菌 |
処方 |
MSSA/MSSEまたはMRSA/MRSE |
(DAP 6~8mg/kg静注24時間ごと,またはLZD 600mg経口または静注1日2回)+RFP 300mg経口1日2回 |
Streptococcus属(A,B,C,D群, viridansその他) |
VCM 15mg/kg静注12時間ごと |
Enterococcus属 |
DAP 6~8mg/kg静注24時間ごと,またはLZD 600mg経口または静注1日2回 |
Cutibacterium(Propionibacterium) acnes |
VCM 15mg/kg静注12時間ごと,またはCLDM 300~450mg経口1日4回 |
グラム陰性腸内桿菌 |
CPFX 750mg経口1日2回 |
P. aeruginosa |
CPFX 750mg経口1日2回または400mg静注8時間ごと |
抗微生物薬適正使用
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