日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Cutibacterium acnes  (2024/05/28 更新)


臨床状況

  • ヒトの皮膚,毛包,皮脂腺の正常細菌叢の一部として存在する,遅育性,嫌気性のグラム陽性桿菌.
  • 近縁であるC. acnesと他のPropionibacterium(現在の名称はCutibacterium)による人工股関節感染が起こる(Clin Infect Dis 66: 54, 2018).
  • 整形外科デバイス,血管内デバイス(人工弁を含む),脳室内脳脊髄液シャント感染を引き起こす.増殖が遅く,5日かそれ以上培養しなければしばしば見逃すことがある.可能なら感染した人工物を取り除くことが重要である.

分類

  • グラム陽性桿菌
  • Cutibacterium acnes(旧名Propionibacterium acnes

第一選択

  • PCG 1200~1800万単位/日(脳脊髄液感染なら高用量)を4~6時間ごとに分割
  • CTRX 2g静注,脳脊髄液感染なら12時間ごと

第二選択

  • VCM 15mg/kg12時間ごと,脳脊髄液感染なら15mg/kg8時間ごとまで増量
  • DAPは心内膜炎に有効の可能性がある.in vitroでは活性だが臨床データは限られている.
  • LZDはin vitroでは静菌的だが,骨に高濃度で移行する.

抗微生物薬適正使用

  • MNZにはしばしば耐性.

コメント

  • 肩関節人工物の超音波処理(J Clin Microbiol 47: 1878, 2009),ならびに,均質化組織および骨標本の好気性チオグリコレート培地への接種,10日間培養,続いてチョコレートおよびBrucellaアガープレートでのブラインドサブカルチャーを行うことにより,検出率が向上する(J Clin Microbiol 54: 3043, 2016).
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2024/05/27