日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版 |
Citrobacter koseri(旧名 diversus) (2024/10/01 更新) |
臨床状況
分類
第一選択
検査結果 |
関与する状況要因 |
推奨される処方 |
コメント |
Citrobacter属(diversus,koseri)が同定されたが,in vitroでの感受性試験結果が得られていない場合 |
ESBL産生株検出率<10~15% 株がC. freundiiではないと確認されれば,抑制されたAmpC遺伝子のリスクなし |
PIPC/TAZ 初回4.5g静注.その4時間後から3.375g4時間以上かけて静注を開始,8時間ごとに繰り返す,または CTRX 2g静注24時間ごと |
BMI≧30の場合:PIPC/TAZ維持用量を4.5g4時間以上かけて静注まで増量し,8時間ごと繰り返す |
ESBL産生株検出率>15% |
MEPM 1~2g静注8時間ごと,または Ertapenem 1g静注24時間ごと |
より重症の感染症に対しては,MEPM 2g3時間以上かけて静注8時間ごと,を考慮する |
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in vitroで耐性が検出されない |
静注治療 |
PIPC/TAZ(用量は上記と同様) CPFX 400mg静注12時間ごと,またはLVFX 750mg静注1日1回 CTRX 2g静注24時間ごと |
アミノグリコシド系薬は選択肢の1つだが,毒性リスクがあるため避ける. ST 10mg/kg/日(トリメトプリムとして)2~3回に分割も選択肢の1つ. |
経口治療(尿路感染症) |
CFIXまたはCFDN FOM経口(尿路感染症) 【訳注】FOM経口は米国ではFosfomycin tromethamineであり,日本のホスホマイシンカルシウムとは異なる. |
Nitrofurantoinは活性が安定しない |
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AZT,CTRX,CTXに耐性 |
ESBL産生株の可能性がある C. koseriならAmpC遺伝子陽性の可能性はない(下記コメント参照) |
MEPM 1~2g静注8時間ごと,または Ertapenem 1g静注24時間ごと |
フルオロキノロン系薬およびアミノグリコシド系薬にも同時に耐性のことが多い.in vitroでは活性だが臨床的には耐性のことがあるため,PIPC/TAZは避ける(Antimicrob Agents Chemother 57: 3402, 2013). より重症の感染症に対しては,MEPM 2g3時間以上かけて静注8時間ごと,を考慮する. |
全カルバペネム系薬,全セファロスポリン系薬,ペニシリン系薬,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬に耐性だが,MEMP/Vaborbactam,CAZ/Avibactamには感性 |
パターンはKlebsiellaセリン型カルバペネマーゼ(KPC)産生と一致する |
MEPM/Vaborbactam 4g3時間以上かけて静注8時間ごと,または CAZ/Avibactam 2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと,または IPM/CS/REL 1.25g静注30分以上かけて注入(CrCl>90mL/分) |
感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される. これらの薬剤に対する耐性出現については,Clin Infect Dis 68: 519, 2019;Antimicrob Agents Chemother 63: e01551, 2018を参照. |
MEPM/Vaborbactam,CAZ/Avibactam,すべてのカルバペネム系薬,その他のすべてのβラクタム薬,検査したフルオロキノロン系薬およびアミノグリコシド系薬に耐性 |
パターンはメタロカルバペネマーゼ産生に一致する |
CAZ/Avibactam 2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと+AZT 2g3時間以上かけて静注6時間ごと,または Cefiderocol 2g3時間以上かけて静注8時間ごと |
感染症専門医へのコンサルテーションが強く推奨される.治療選択肢は乏しい. in vitroでポリミキシンに感受性のことがある.しかしポリミキシンによる単剤治療は失敗することが多く,単剤とMEPM併用を比較した試験では併用治療の有用性は認められなかった(Lancet Infect Dis 18: 391, 2018) 感受性があれば,アミノグリコシド1剤,ただし単剤治療は失敗することがある. |
FDAが承認しているすべての抗菌薬に対し汎耐性 |
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FOM静注(使用可能ならば) ,または Cefiderocol 2g3時間以上かけて静注8時間ごと |
感染症専門医へコンサルテーションが必要. 【米国の事情】FOM静注の緊急使用は,個々の患者に対する治験薬の例外的使用を通じてFDAから入手可能.TEL: 1-888-6332または+1-301-796-1400.緊急連絡先:+1-301-796-8240または1-866-300-4374. |
第二選択
抗微生物薬適正使用
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