日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

セフトロザン・タゾバクタム  (2025/07/01 更新)
CTLZ/TAZ
主な商品名:ザバクサ

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

FDA承認用量
複雑性腹腔内感染症(+MNZ 500mg静注8時間ごと,または1g静注12時間ごと)
1.5g静注(1時間以上かけて)8時間ごと・4~14日
複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)
1.5g(1時間以上かけて)静注8時間ごと・7日
院内肺炎/人工呼吸器関連細菌性肺炎
3g静注(1時間以上かけて)8時間ごと・8~14日
AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス*用量
単純性膀胱炎:
1.5g静注(1時間以上かけて)8時間ごと
他の感染症すべて
3g静注(3時間以上かけて)8時間ごと

用量は成分の合計として記載する

*:抗菌薬耐性(AMR)グラム陰性菌感染症治療における薬物用量に関するガイダンス(AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス):Clin Infect Dis 2024年8月7日

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
FDA承認用量:
複雑性IAI:30mg/kg(1時間以上かけて)8時間ごと・5~14日
複雑性UTI/腎盂腎炎:30mg/kg(1時間以上かけて)8時間ごと・7~14日

AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス(小児)による用量(新生児,乳児,小児):
膀胱炎:30mg/kg(1時間以上かけて)8時間ごと
その他すべて:60~75mg/kg(3時間以上かけて)8時間ごと
注:中枢神経感染には1時間注入を使用
最大/日
FDA:4.5g
AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス(小児):
膀胱炎:4.5g
その他:9g

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
CTLZ:3.1
半減期(時間)(ESRD)
CTLZ:40
用量(腎機能正常)
IAI/UTI:1.5g静注8時間ごと
HAP/VAP:3g静注8時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50:用量調整不要
CrCl 30~50:
IAI/UTI:750mg8時間ごと
HAP/VAP:1.5g8時間ごと
CrCl 15~29:
IAI/UTI:375mg8時間ごと
HAP/VAP:750mg8時間ごと
CrCl<15(透析中):
血液透析参照
血液透析
IAI/UTI:初回750mg,150mg8時間ごと (透析後投与)
HAP/VAP:初回2.25g,450mg8時間ごと (透析後投与)
CAPD
データなし
CRRT
CVVHDF:3gを1回,その後750mgを8時間ごと1
SLED
データなし
  1. Antimicrob Agents Chemother 64: e01655, 2019

 5. その他の用量調整

2. 副作用

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
Time above MIC
剤形
注射剤
食事に関する推奨(経口薬)1

経口吸収率(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度2(μg/mL)
CTLZ:74.4
TAZ:18
(1.5g静注8時間ごと,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
CTLZ:16~21
TAZ:30
分布容積3(Vd)
CTLZ:13.5L
TAZ:18.2L
(Vss)
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
CTLZ:3.1
TAZ:1.0
排泄

胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
CTLZ:20
TAZ:20
(fAUC CSF/血液)
7
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性8
可能性は低い
AUC9(μg・時間/mL)
CTLZ:182
TAZ:25
(SS,0~8時間)
  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 推定される/確診された脳室炎(Antimicrob Agents Chemother 65: e01698, 2020
  8. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  9. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCYP450

薬剤が基質となるトランスポーター
TAZ:OAT1,OAT3
薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450

薬剤が阻害するトランスポーター

薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450

薬剤が誘導するトランスポーター

薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響
予測されない

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

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2025/06/30