日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版 |
Klebsiella aerogenes (2024/10/22 更新) |
臨床状況
分類
第一選択
検査結果 |
関与する状況要因 |
推奨される処方 |
コメント |
Klebsiella aerogenesが同定されたが,感受性検査結果は出ていない,経験的治療 |
施設でのESBL耐性率<10% |
Klebsiella aerogenesはAmpCを産生するため,CFPM 1~2g静注8~12時間ごとが望ましい CPFX 400mg静注1日2回,またはLVFX 750mg静注24時間ごと |
施設での耐性率が低ければSTも選択肢となる(第二選択参照) |
|
施設でのESBL(基質拡張型βラクタマーゼ)耐性率>10% |
MEPM 1~2g静注8時間ごと,または Ertapenem 1g静注24時間ごと |
|
AZT,CTRX,CTX,CAZ,CFPMに感性 |
ESBL産生株ではない;処方の選択は確認された感受性に基づく |
Klebsiella aerogenesはAmpCを産生するため,CFPM 1~2g静注8~12時間ごとが望ましい CPFX 400mg静注1日2回,またはLVFX 750mg静注24時間ごと |
Klebsiella aerogenesはAmpCを産生するため,CFPMが望ましい AZT,CTRX,CTX,CAZ,PIPC/TAZは,in vitroでは感性となることがあるが,in vivoでの耐性出現の可能性があり,推奨されない STも選択肢となる |
AZT,CTRX,CTX,CAZ,CFPMに耐性(ESBL),カルバペネムに感性 |
おそらくESBL産生株 この表現型はAmpC過剰産生によるものだが,CFPMも耐性の場合には第二変異(たとえば,ポーリン閉鎖あるいは薬剤排出ポンプ)であることがある. |
MEPM 1~2g静注8時間ごと IPM/CS 500mg静注6時間ごと Ertapenem 1g静注24時間ごと |
カルバペネムを温存するための第二選択として,CTLZ/TAZ 3g静注8時間ごとの使用を考慮する. より重症の感染症に対してはMEPM 2g3時間以上かけて静注8時間ごとを考慮する. |
上記の薬剤およびMEPMまたはIPM/CS,あるいは両者に耐性だが,CAZ/AvibactamおよびMEPM/Vaborbactamに感性 |
このパターンはKPC(Klebsiella産生カルバペネマーゼ)の産生に一致する |
CAZ/Avibactam 2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと(下記コメント参照) MEPM/Vaborbactam 4g3時間以上かけて静注8時間ごと IPM/CS/REL 1.25g30分以上かけて静注6時間ごと(CrCl>90mL/分) |
感染症専門医へのコンサルテーションが強く推奨される. Ertapenem耐性株の分離は必ずしもMEPMまたはIPM/CS耐性を意味しないので,分離株がこれらの両方に感性ならどちらかを用いてもよい. これらの薬剤に対する耐性変異の出現についての議論は,Clin Infect Dis 68: 519, 2019;Antimicrob Agents Chemother 63: e01551, 2018参照. |
上記の薬剤およびCAZ/Avibactam,MEPM/Vaborbactam, フルオロキノロン,アミノグリコシド,STに耐性 |
このin vitroのパターンはメタロβラクタマーゼ産生に一致.フルオロキノロン系薬およびアミノグリコシド系薬にも耐性のことが多い |
CAZ/Avibactam 2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと+AZT 2g2時間以上かけて静注6時間ごと(コメント参照),または CFDC 2g3時間以上かけて静注8時間ごと |
感染症専門医へのコンサルテーションが強く推奨される. in vitro感受性に基づき,MEPM/Vaborbactam+AZTが選択肢となることがあるが,有効性は証明されていない. |
ポリミキシン類および検査した他の抗菌薬すべてに耐性 |
|
CFDC 2g3時間以上かけて静注8時間ごと |
可能なら,感染症専門医へのコンサルテーションが強く推奨される. |
第二選択
抗微生物薬適正使用
コメント