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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
尿路感染症-成人,男性
(
2023/10/24 更新
)
成人男性の膀胱炎,尿道炎
臨床状況
尿路感染症(UTI):膀胱炎
診断:排尿障害,頻尿,尿意切迫±恥骨上部の痛み
性生活がある場合,
N. gonorrhoeae
による膀胱炎および
Chlamydia
感染を除外する(核酸増幅検査[NAAT]での評価)
感染を繰り返す患者では,前立腺炎を評価する.
膀胱炎に加えて膀胱頸部閉塞症状があれば,急性細菌性前立腺炎の併発
閉塞が疑われるなんらかの症状があれば,ただちに画像検査を行う.
病原体
E. coli
(75%~95%)
その他の
腸内細菌科
第一選択
ST
2錠経口1日2回・7日(地域での
ST
耐性の検出率が<20%の場合)
CPFX
500mg経口1日2回・5~7日,または徐放錠†1000mg経口1日1回・5~7日
LVFX
750mg経口1日1回・5~7日
Nitrofurantoin
100mg経口1日2回・7日
(†:日本にない剤形)
第二選択
AMPC/CVA
875mg/125mg1日2回・7日
CEX
500mg1日4回・7日
CFDN
300mg1日2回・7日
Pivmecillinam
400mg1日2回・7日(入手可能な場合)
FOM
3g経口隔日・1~3回(2011年IDSAガイドラインでは第一選択の推奨だったが,ランダム化比較試験ではNitrofurantoinより効果は低かった:
JAMA 319: 1781, 2018
)
【注】
FOM
経口は米国ではFosfomycin tromethamineであり,日本のホスホマイシンカルシウムとは異なる.
抗微生物薬適正使用
発熱を伴わない尿路感染:>7日の治療は再発減少につながらず,
C.difficile
感染の増加と関連する(
JAMA Intern Med 173: 1153, 2013
).
男性での発熱を伴う尿路感染:尿培養陰性,解熱,治療終了時と第1日から6週の間の後続抗菌薬治療を複合的第一次エンドポイントとした研究で,14日治療は7日治療よりも優れていた.14日群での有用性のほとんどは,治療終了時で培養陽性が少なかったことからであるが,臨床的予後の有意差もあった(
Clin Infect Dis 26: 2154, 2023
).
コメント
前立腺への移行のない薬剤
:Nitrofurantoin,βラクタム薬,FOMは前立腺へ移行せず,膀胱炎患者での意義は不明.
考慮すべき他の重要な点
:尿路感染症の再発では,前立腺肥大やその他の閉塞原因を評価する.同一の病原菌での尿路感染症を再発する男性では,慢性前立腺炎を考慮する.
複雑性尿路感染症患者(35%が男性)を対象としたランダム化対照比較試験では,5日治療の有効性は10日と同等だった(
Urology 71: 17, 2008
).
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2023/10/23