日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

髄膜炎-シャントまたはカテーテル関連  (2026/03/17 更新)
髄膜炎:髄液シャントなどの医療機器関連


臨床状況

  • 培養結果が明らかになるまでの経験的治療
  • 医療機器関連の髄膜炎.
  • 感染した脳室-腹腔(心房)シャント,腰椎カテーテル,外部脳室ドレーン,オンマヤリザーバー,その他脳脊髄液ドレナージ機器に起因する脳室炎/髄膜炎.
  • 所見および症状:新たな頭痛,精神状態の変化,発熱,シャント部位の圧痛/紅斑
  • 臨床検査所見:血液培養陽性だが感染源が明らかでない.髄液細胞増加を伴う脳脊髄液の異常,糖低下/高蛋白(ただし脳脊髄液が正常な場合もある).脳脊髄液培養陽性がゴールドスタンダード
  • 臨床状況から感染が疑われるが培養が陰性の場合は,遅育性の微生物(たとえば,Cutibacterium[旧名Propionibacterium] acnes)を同定するために10日培養を続ける
  • 感染は器具設置後1カ月以内に起こることが多い.
  • 再感染もまれではない

病原体

  • グラム陰性桿菌
  • ジフテロイド

第一選択

経験的治療
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)+(CFPM 2g静注8時間ごとまたはCAZ 2g静注8時間ごと)
  • 乳児および小児:VCM 60~80mg/kg/日静注6~8時間ごとに分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)+CFPM 150mg/kg/日静注8時間ごとに分割,またはCAZ 200mg/kg/日8時間ごとに分割
特異的治療
病原体
第一選択薬
MMSA
NafcilllinまたはOxacillin
MRSA
VCM
Cutibacterium(旧名 Propionibacteriumacnes
PCG
S. pneumoniae ペニシリンMIC≦0.06μg/mL
PCGまたはCTRX
S. pneumoniae ペニシリンMIC≧0.12μg/mL,CTRX MIC<1μg/mL
CTRXまたはCTX
S. pneumoniae ペニシリンMIC≧0.12μg/mL,CTRX MIC≧1μg/mL
VCMCTRXまたはCTX
腸内細菌科
CTRXまたはCTXまたはCFPM
腸内細菌科,ESBL産生
MEPM
P. aeruginosa
CFPMまたはMEPM
Candida
L-AMB

第二選択

経験的治療
  • VCM 上記と同様+MEPM 2g静注8時間ごとを3時間以上かけて静注(乳児および小児:120mg/kg/日8時間ごとに分割)
  • 重症βラクタムアレルギー:VCM+(CPFX 400mg静注8時間ごと[乳児および小児:30mg/kg/日8時間ごとに分割]),またはAZT 2g静注6時間ごと[乳児および小児120mg/kg/日6時間ごとに分割])

抗微生物薬適正使用

  • 病原体と感受性試験結果に基づいて狭域抗菌薬を選択する(特異的治療についてはコメント参照).

コメント

  • 通常の治療
  • 可能な限り感染した器具を除去し,必要なら外部脳室ドレーンを設置
  • 外部ドレーンから採取した脳脊髄液の培養を,陰性となるまで繰り返す
  • 治療期間:脳脊髄液培養結果が最後に陽性になったときから10~14日(P. acnes,コアグラーゼ陰性Staphylococcus,ジフテロイド感染患者,または脳脊髄液異常所見がほとんどない患者では,より短期間)
  • シャント再建
  • コアグラーゼ陰性Staphylococcus,ジフテロイド,P. acnes
  • ・脳脊髄液異常所見なし:脳脊髄液培養が48時間陰性なら,外部ドレーン設置から3日後
  • ・脳脊髄液異常所見あり:最後の脳脊髄液培養陽性から7~10日後
  • S. aureusまたはグラム陰性菌:最後の脳脊髄液培養陽性から10日後
  • シャント除去が不可能,または全身治療で培養陰性にならなかったが,特に新生児や乳児で炎症またはけいれんのリスクがあるような場合には,脳室内抗菌薬投与が必要になることがある.
  • 脳室内投与抗菌薬の用量は以下のとおり(他の指定がないかぎり,乳児および小児での用量は成人用量の60%またはそれ以下に減量しなければならない)(詳細は,IDSAガイドライン,Clin Infect Dis 64: e34, 2017を参照)
  • AMPH-B 0.01~0.5mgを2mLの5%ブドウ糖水に希釈する
  • GM :2~8mg成人,1~2mg乳児および小児
  • 成人のスリット状脳室では2mg,正常サイズの脳室では3mg,脳室拡大例では4~5mg
  • 投与回数は,以下に詳述する通り外部脳室ドレーンの排出に基づいて決定される
  • PL-B 成人では5mg,乳児および小児では2mg
  • 成人のスリット状脳室では5mg,正常サイズの脳室では10mg,脳室拡大例では20mg
  • 投与回数は,以下に詳述する通り外部脳室ドレーンの排出に基づいて決定される
  • ドレナージ量に基づくVCMとGMの投与回数
  • <50mL/24時間:3日に1回
  • 50~100mL/24時間:2日に1回
  • 100~150mL/24時間:1日に1回
  • 150~200mL/24時間:VCMを5mg,GMを1mg増量し1日1回投与
  • 200~250mL/24時間:VCMを10mg,GMを2mg増量し1日1回投与
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