日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ダニ媒介性疾患-概説  (2023/03/22 更新)


臨床的特徴

  • 米国で多くみられるダニ媒介性疾患の概説(日本の情報については,下記関連項目/画像の日本の情報参照)
  • マダニ属により媒介される3つの感染症の臨床的特徴の比較(米国)(下記画像参照)
  • 2つ,あるいは3つの病原体による同時感染が起こることもある:たとえば,ライム病+バベシア症またはライム病+アナプラズマ症
  • さらに,マダニ属は回帰熱(Borrelia miyamotoi)やダニ媒介脳炎(ポワサンウイルス感染症)の病原体の媒介生物でもある.回帰熱は,軟ダニなどの他のダニによって引き起こされることもある.
  • ヨーロッパとアジアでは,マダニは他の疾患(特にダニ媒介性脳炎)の媒介生物である.
  • ワクチンの適応,使用可能な製剤,用量,曝露前予防に関するワクチンの特徴についてはダニ媒介脳炎ワクチンを参照.
  • 将来の診断方法
  • 8種類のダニ媒介感染症に関するマルチプレックス抗体検査の報告:AnaplasmaBabesiaBorrelia burgdorferiBorrelia miyamotoiEhrlichiaRidketsia rickettsi,ハートランドウイルス,ポワサンウイルス (Sci Rep 8: 3158, 2018).
疾患
ライム病
アナプラスマ症
バベシア症
病原体
Borrelia burgdorferi
(スピロヘータ)
Anaplasma phagocytophilum
(細胞内細菌)
Babesia microti
(原虫)
発疹
あり(E. migrans
あり(まれ)
なし
検査上の異常所見
白血球減少症と血小板減少症はまれ
血小板減少症および好中球減少症
血小板減少症,溶血性貧血
診断
初期:臨床症状
後期:抗体およびウエスタンブロット
末梢血スメア,IFA,PCR
侵入:赤血球(血液スメアのギムザ染色),抗体,PCR
治療
初期:DOXY
後期:CTRX
DOXYまたはTC
軽症:アトバコン(経口)+ AZM(経口)
重症:CLDM(静注)+Quinine(経口)

関連項目/画像

関連項目
  • 米国におけるダニの地理的分布についてはCDCのサイトを参照
  • 米国で感染のおそれがあるダニ媒介性疾患/病原体として,CDCは以下をあげている
  • バーボンウイルス?
  • コロラドダニ熱ウイルス
  • 重症熱性血小板減少症候群ウイルス
  • ハートランドウイルス:Ehrlichia chaffeensisと同じ分布(ヒト単球性エーリヒア症)
  • 南部ダニ紅斑病:Southern tick-associated rash illness
   
日本の情報
  
  
画像

ひとつ星ダニ(アメリカキララマダニ属)(Amblyomma americanum
  • 関連する疾患:エールリヒア症,野兎病,バベシア症,リケッチア症,ハートランドウイルス病,南部ダニ関連発疹性疾患,バーボンウイルス病(おそらく),文献:N Engl J Med 381: 2189, 2019


  • 成虫


シカダニ,クロアシマダニIxodes scapularis
  • 関連する疾患:アナプラスマ症,野兎病,バベシア症,ライム病,回帰熱(Borrelia miyamotoi),ポワサンウイルス病


  • 幼虫期


  • 各段階


  • クロアシマダニ


  • 上左右・幼虫,下左・成虫メス,下右・成虫オス


アメリカ犬ダニ(アメリカイヌカクマダニ)(Dermacentor variabilis
  • 関連する疾患:ロッキー山紅斑熱,野兎病


  • メス


  • オス


クリイロコイタマダニRhipicephalus sanguineus
  • 関連する疾患:ロッキー山紅斑熱



メキシコ湾岸マダニAmblyomma maculatum
  • 関連する疾患:パルケリリケッチア



画像はCDCおよびWHOより
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2023/03/20