日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

他の紅斑熱  (2023/10/10 更新)
ロッキー山紅斑熱以外の紅斑熱


臨床状況

  • 臨床診断:マダニや他のダニに咬まれた患者で発熱,激しい筋肉痛,頭痛が起こり,発疹や焼痂(黒色斑点)を伴う.
  • 発熱
  • 激しい筋肉痛・頭痛
  • 血小板減少症が多くみられる
  • DOXYに感受性あり

病原体/診断

病原体
リケッチア
病名
流行地域
R. akari
リケッチア痘
北アメリカ
R. connorii
地中海紅斑熱(ブートン熱)
地中海沿岸
R. parkeri
アメリカブートン熱
米国南東部
R. australis
クイーンズランドダニチフス
東オーストラリア
R. honei
フリンダース島紅斑熱
オーストラリア,南東アジア,北西ヨーロッパ
R. africae
アフリカ紅斑熱
アフリカ.旅行関連リケッチア症で最も多い
R. sibirica
シベリアダニチフス
中国

診断
  • 確定診断には血液のPCR,皮膚生検または経時的な抗体検査が必要.

第一選択

  • DOXY 100mg経口1日2回・7日(コメント参照)

第二選択

  • CP 500mg経口または静注1日4回・7日
  • 小児・年齢<8歳:AZM 10mg/kg/日1回,またはCAM 7.5mg/kg12時間ごと・3日(軽症の場合).

コメント

  • 小児:小児患者に対するテトラサイクリン系薬の使用について,8歳未満の小児では,薬剤とその着色分解物質がエナメル質に沈着することにより歯の永久的な変色が起こることが報告されていたため,従来は制限されていた.
  • DOXYは,他のテトラサイクリン系薬に比べカルシウムへの結合力が弱く,最近の比較データからは,8歳未満の小児で目に見える歯の変色やエナメル質形成不全を引き起こす可能性は低いことが示唆されている.
  • アフリカ紅斑熱:DOXYに不耐の患者に対しRFP 450mg経口1日2回・10日が奏効したという症例報告がある(Clin Infect Dis 65: 1582, 2017).
  • 地中海紅斑熱患者40例を対象としたランダム化試験では,CAM 500mg経口12時間ごと・5日の有効性は,DOXY 200mg経口12時間ごと・2回投与と同等だった(Antimicrob Agents Chemother 60: 1642, 2016).
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2023/10/10