日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

出血性熱性ウイルス-クリミア-コンゴ出血熱  (2024/10/15 更新)


臨床状況

  • クリミア-コンゴ出血熱はダニ媒介性ウイルス感染症(マダニ).
  • ウイルス血症の動物(主に家畜)の血液や組織に直接接触することで,ヒトに感染することもある.
  • 自然経過
  • 感染および潜伏(1~9日)
  • 前出血期(1~7日)
  • 出血期(2~>3日)
  • 回復期(数日)
  • 症状:悪心/嘔吐,発熱,頭痛,筋肉,めまい,首/背中の痛み,羞明,昏迷(1/3).
  • 徴候:結膜充血,顔/首/胸部の充血,肝腫大,黄疸,点状出血(1/3).
  • 検査所見:血小板減少,白血球減少,ALT・AST・LDH・CPK上昇(100%).

診断/病原体

診断
  • 定量的逆転写PCR(qRT-PCR):ウイルス血症>109copies/mLは死亡と関連する
  • IgMおよびIgG抗体のための血清学検査キット(擬陰性が多い)

病原体
  • クリミア-コンゴ出血熱ウイルス

第一選択

  • リバビリン経口,初回30mg/kg,その後15mg/kg 6時間ごと・4日,その後7.5mg/kg 8時間ごと・6日(WHO推奨)
  • コメント参照

第二選択

  • IVIGは炎症の軽減に関連
  • 高用量コルチコステロイドが有効だった
  • サイトカインストームを抑制するための免疫修飾薬は重症例で有効なことがある.

コメント

  • 281例の症例シリーズで,リバビリンは死亡率を低下させた.またデキサメタゾンは重症患者で有用と考えられた(Clin Infect Dis 57: 1270, 2013).
  • トルコでの研究では,リバビリン治療を受けた患者では入院期間はより短かった(7.7日 vs 10.3日)が,死亡率や輸血の必要性に差はなかった(J Infect 52: 207, 2006).
  • トルコの342例のクリミア-コンゴ出血熱患者で,リバビリンの早期使用(2日未満)は症状の重症化を抑制し,専門的治療施設に移送する必要性を著明に低下させた(Vector Borne Zoonotic Dis 14: 300, 2014).
  • 治療用モノクローナル抗体,DNAワクチンが開発中
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2024/10/15