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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
エールリヒア症:ヒト単球性エールリヒア症(HME)
(
2023/09/12 更新
)
臨床状況
Ehrlichia
はヒト白血球内で増殖する偏性細胞内菌である.
ヒトに対して病原性をもつ重要な種は,
Ehrlichia chaffeensis
(HMEの原因菌)と
Anaplasma phagocytophilum
[ヒト顆粒球アナプラスマ症(HGA)の原因菌]の2つである.
HMEでは発熱,発疹(36%),白血球減少および血小板減少がみられる.
米国の30の州でみられる:主にニュージャージー,イリノイ,ミズーリ,オクラホマ,テキサスを結ぶ線の南東.
CDC統計マップ
参照
4~9月の野外活動およびダニに咬まれた経験がある.
流行地域では,ダニの成虫も幼生も
Anaplasma
(HGA)および
B. burgdorferi
(ライム病)の両方に感染している率が高い.
バベシア症が同時発症することがある.
診断/病原体
診断
IFA抗体が4倍上昇する.しかしIFAは時間がかかる.
血液フィルムに桑実胚(単球が含まれる)がなければ,血液またはCSFのPCRで
Ehrlichia
のDNAを検出する.
病原体
Ehrlichia chaffeensis
Lone star tick が媒介
Lone star tick(成虫のメス)
第一選択
DOXY
100mg経口または静注†1日2回・7~14日(コメント参照)
(†:日本にない剤形)
第二選択
TC
500mg経口1日4回・7~14日
DOXY
は,小児にも妊婦にも推奨される(
CDC治療推奨
を参照)
妊娠中の軽症患者あるいは重度のテトラサイクリン系アレルギーのある患者では,
RFP
10mg/kg1日2回・5~7日.
コメント
小児:小児患者に対するテトラサイクリン系薬の使用について,8歳未満の小児では,薬剤とその着色分解物質がエナメル質に沈着することにより,歯の永久的な変色が起こることが報告されていたため,従来は制限されていた.
DOXYは,他のテトラサイクリン系薬にくらべカルシウムへの結合力が弱く,最近の比較データからは,8歳未満の小児で目に見える歯の変色やエナメル質形成不全を引き起こす可能性は低いことが示唆されている.
DOXYは短期間(≦21日)ならば,患者の年齢にかかわらず安全に投与できる(
AAP Red Book 2018
;
J Pediatr 166: 1246, 2015
).
文献:
MMWR Recomm Rep 65: 1, 2016
.
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2023/09/11