日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Neoehrlichia mikurensis  (2024/08/27 更新)
アナプラスマ,ダニ媒介,原因不明の発熱


臨床状況

  • 新興のダニ媒介性疾患(原因はおそらくNeoehrlichia mikurensis
  • 主に血液学的または自己免疫性の背景疾患があって免疫抑制治療(たとえば,リツキシマブ)を受けている患者および/または無脾の患者で,全身性炎症症状が起こる.インフリキシマブを投与された患者は,無症状または不顕性となる傾向がある.病原体は血管内皮に侵入.通常,保菌は数か月に及ぶ.
  • あまり知られておらず,見逃されることも多い.想定されていないから検査もされない.
  • マダニ(Ixodes)により伝播する.病因保有宿主としてげっ歯類と密接な関係がある.輸血による伝播の可能性があるが,証明されていない.
  • 地理的にはヨーロッパ,オランダ,スカンジナビアがほとんどで(現在までのところ米国での新たな症例の報告はない),アジア(中国,韓国)での散発的な報告がある.
  • もっとも多くみられる症状は:発熱,筋肉痛,関節炎/関節痛,頭痛,寝汗,血管/血栓塞栓事象(深部静脈血栓症,肺塞栓症,一過性脳虚血,動脈炎,多発動脈炎または巨細胞動脈炎に類似した症状).

診断/病原体

診断
  • 診断は困難.血漿またはバッフィーコートのPCR遺伝子型検査を用いなければならない.このことが,報告・診断された症例が相対的に少ないことの,一部の要因となっているのかもしれない.
  • 臨床検査では,通常,リンパ球減少を伴う白血球増加,貧血,CRP上昇が明らかになる.
病原体
  • Candidatus Neoehrlichia mikurensis (細胞内寄生菌) Anaplasmataceae

第一選択

  • DOXY 100mg経口1日2回・2~3週

第二選択

  • なし

コメント

  • 診断をするためには,この疾患を想定しなければならない.
  • 鑑別診断には,ライム病,ダニ媒介脳炎,地中海紅斑熱,ヒト顆粒球アナプラスマ症が含まれる.
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2024/08/27