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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
せつ,毛包炎,皮膚膿瘍
(
2023/12/19 更新
)
臨床状況/診断
臨床状況
せつ,せつ腫症,よう,膿瘍を含む化膿性皮膚病変.急性の細菌性皮膚/皮膚組織感染(ABSSSI).
切開とドレナージが治療の中心.注意:針吸引では不十分.
治療に関する総説:
N Engl J Med 370: 1039, 2014
.
再発性せつ腫症
も参照.
診断
診断が不確実および/またはドレナージが十分であるかを評価する場合,超音波検査が有用なこともある.
病原体
S. aureus
(MSSA,MRSA)
第一選択
経口,外来患者,経験的治療(コメント参照):
MRSAの疑いおよび検出率が低い場合
切開とドレナージに加えて
Dicloxacillin
500mg経口1日3~4回,または
CEX
500mg経口1日3~4回
MRSAの疑いおよび検出率が中程度~高度の場合
切開とドレナージに加えて
ST
800/160(2錠,BMI>40の肥満患者では4錠)経口1日2回
CLDM
300~450mg(BMI>40の肥満患者ではより高用量)経口1日3回
2~3日治療して反応が得られなければ,ドレナージされていない膿瘍を検索する.
入院患者:
切開とドレナージ,膿瘍培養および血液の培養.
経験的抗菌薬治療(特異的な培養および感受性のデータがない場合には,MRSAに活性のある薬剤を選択する):
VCM
15~20mg/kg8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目指す)
培養結果が明らかになった場合の特異的治療
MSSA
Nafcillin
または
Oxacillin
1g静注4時間ごと
CEZ
1g静注8時間ごと
MRSA
VCM
15~20mg/kg8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目指す)
第二選択
中等症~重症感染で注射薬が望ましく,外来での管理が可能な患者に対する処方:
Dalbavancin
1.5g静注1回(30分以上かけて静注)
経口薬
MSSA
Flucloxacillin
250~500mg経口1日3回,または
ST
2~4錠1日2回
CLDM
300~350mg1日2回
MRSA
LZD
600mg経口12時間ごと
DOXY
100mg経口12時間ごと,または
MINO
100mg経口12時間ごと
注射薬
MSSA
Flucloxacillin
1g静注4~6時間ごと,または
MRSA
DAP
4mg/kg静注24時間ごと
LZD
600mg静注12時間ごと
Ceftaroline
600mg静注12時間ごと
抗微生物薬適正使用
最近の研究では,5~7日の短期治療の有効性は10~14日の長期治療と同等であることが示された.
MRSAに活性のある薬剤はMSSAにも活性があるが,βラクタム薬使用ができないような重度のアレルギーや毒性がないかぎり,MSSA特異的なβラクタム系薬の方が望ましい.
コメント
小さな膿瘍でも活性のある薬剤(STまたはCLDM)で治療することにより,治癒率が向上,再発は低下し,忍容性が高いという結果が,2つの質の高いランダム化二重盲検プラセボ対照試験で示された(
N Engl J Med 374: 823, 2016
;
N Engl J Med 376: 2545, 2017
).
STやCLDMの低用量(ST 4錠の代わりに2錠,CLDM 450mgの代わりに150~300mg)は肥満患者(BMI>40)では治療失敗につながることが報告されている(
J Infect 65: 128, 2012
).
他の選択肢:
フシジン酸
250~500mg経口†8~12時間ごと+
RFP
300mg経口1日2回.
フシジン酸
はヨーロッパでは入手できるが,米国では入手不可.
分離菌のin vitroでの感受性が明らかにならないかぎり,フルオロキノロンは使用しない.
(†:日本にない剤形)
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2023/12/18