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Dalbavancin (2025/11/18 更新)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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FDAが2014年に承認したDalbavancinは長時間作用性のリポグリコペプチド系抗菌薬(注射剤)である.
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成人および小児の,S. aureus(MRSAを含む),S. pyogenes,S. agalactiae,S. dysgalactiae,S. anginosusグループ,E. faecalis(VCM感受性)の感受性ある株による皮膚および皮膚軟部組織感染に対して適応がある.
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抗菌薬の他の選択肢については,抗菌薬耐性の遺伝子型参照.
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直接の感受性検査ができない場合には,代理指標としてVCMのin vitro感受性を用いてもよい:Diagn Microbiol Infect Dis 82: 73, 2015.
2. 成人用量
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1500mg静注1回(1回投与処方)
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1000mg静注・第1日,その後500mg静注第8日(2回投与処方)
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5%ブドウ糖水溶液(D5W)でのみ調剤する(最終濃度1~5mg/mL).生食に加えないこと(溶液から薬物の沈殿が起こることがある)
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30分以上かけて注入
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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CrCl≧30mL/分/1.73m2 年齢0~6歳:22.5mg/kg1回投与 年齢6~<18歳:18mg/kg1回投与 CrCl<30mL/分/1.73m2 推奨されない
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最大/日
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1500mg
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4. 腎障害時の用量調整
半減期(時間)(腎機能正常)
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147~258(終末相半減期)
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半減期(時間)(ESRD)
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データなし
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用量(腎機能正常)
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第1日1g,第8日500mg 1回 または1.5g 1回
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腎障害時の用量
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CrCl≧30 :用量調整不要 CrCl<30,定期的な血液透析では使用しない 750mg第1日,第8日に375mg,または1125mg1回
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血液透析
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用量調整不要 (すなわち,通常用量を用いる)
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CAPD
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データなし
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CRRT
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データなし
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SLED
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データなし
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5. その他の用量調整
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軽症肝障害(Child-Pugh分類A):用量調整不要
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中等症肝障害(Child-Pugh分類B):データなし,注意して使用
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重症肝障害(Child-Pugh分類C):データなし,注意して使用
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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Dalbavancinに対する過敏性反応が知られている
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過敏性反応:アナフィラキシーおよび皮膚反応が報告されている.交差反応性が不明なため,他のグリコペプチド系抗菌薬に対するアレルギーの既往がある患者では注意が必要.
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注射関連反応:急速注入に伴い発疹,じんま疹,掻痒(VCMヒスタミン遊離症候群と同様の)が起こることがある.投与中止あるいは注入速度を落とすことで反応が消失することがある
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ALT上昇:正常上限(0.8%)の>3倍.
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C. difficile関連下痢の可能性
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):ヒトでのデータなし.ヒトの3.5倍の曝露でラットに毒性
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授乳中の使用:おそらくは安全だが,モニターする,ただしデータはない.
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
PK/PD指標
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24時間AUC/MIC
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剤形
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注射
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食事に関する推奨(経口薬)1
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経口吸収率(%)
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Tmax(時間)
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最高血清濃度2(μg/mL)
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278~301(1g静注,SD)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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93~98
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分布容積3(Vd)
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0.11 L/kg
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平均血清半減期4(時間)
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147~258(終末相半減期)
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排泄
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腎,糞便
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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23843(1g静注,0~inf)
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†:日本にない剤形
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注記のない場合は成人用製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント
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DOTS試験:血液培養が陰性であった複雑性S. aureus菌血症患者において,Dalbavancin2回投与(1500 mgを第1日と第8日に投与)は標準治療と比較して優位性は示されなかったものの非劣性であり,安全性プロファイルは同等であった(JAMA 2025年8月13日).
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