日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

骨髄炎-S. aureus による  (2024/07/02 更新)
Staphylococcus による骨髄炎,特異的治療


臨床状況

  • S. aureus による骨髄炎の特異的治療.培養およびin vitroの感受性試験結果が得られている.

病原体

  • MSSA(Methicillin感受性S. aureus
  • MRSA(Methicillin耐性S. aureus

第一選択

  • MSSA
  • MRSA(治療期間については抗微生物薬適正使用参照)
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)±RFP 300~450mg静注†または経口・1日2回(編者らは再発率を低下させるために可能な限り併用治療を推奨する)

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • MSSA(βラクタム過敏症または副作用)
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)±RFP 300~450mg静注†または経口・1日2回.
  • DAP 8~10mg/kg静注24時間ごと
  • MRSA(治療期間については抗微生物薬適正使用参照)
  • DAP 8~10mg/kg静注24時間ごと±RFP 300~450mg静注†または経口・1日2回(編者らは再発率を低下させるために可能な限り併用治療を推奨する)
  • ステップダウンした経口処方(in vitroの感受性が明らかな場合)
  • CPFX 750mg経口1日2回またはLVFX 750mg経口24時間ごと)+RFP 300~450mg経口1日2回

(†:日本にない剤形)

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間ははっきりと決まっていないが,急性感染の場合は6~8週が有効と思われる(コメント参照).
  • MRSAによる化膿性脊椎炎では,ドレナージされていない化膿性合併症を伴い広範な場合,または末期腎障害患者の場合には,<8週治療では再発率が高いため(Clin Infect Dis 62: 1262, 2016),≧8週治療が推奨される.
  • 硬膜外と脊椎傍の膿瘍のドレナージが可能であれば,6週間の静注/経口治療の有効性は12週間治療と同等(詳細はLancet 385: 875, 2015参照)だが,広範な感染および膿瘍のある患者で,特にドレナージを行うことが難しい場合は治療失敗のリスクが大きくなるため,より長期の治療を考慮する.

コメント

  • 文献
  • RFP併用療法は,動物モデルのデータとわずかな臨床データから支持されている.
  • 周囲の軟組織膿瘍の外科的排膿と死滅した骨組織のデブリドマンが治療の中心である.
  • in vitroの感受性が明らかで,患者にアレルギーや副作用の問題がある場合に選択肢となるその他の処方
  • CLDM 600~900mg静注8時間ごと,または300~450mg経口6~8時間ごと.
  • LZD 600mg経口または静注1日2回(治療期間>2~3週では血液学的または神経毒性の問題がある)
  • FA 500mg静注†8時間ごと+RFP 300mg経口1回2日.

(†:日本にない剤形)

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2024/07/01