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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
髄膜炎-頭部外傷後,脳神経手術後
(
2024/08/27 更新
)
外傷あるいは脳神経手術後患者で細菌性髄膜炎が疑われる場合の経験的治療
臨床状況
頭部外傷後,脳神経手術(たとえば,脳室造瘻術,腰椎ドレーン,脳室腹腔シャント,オンマヤリザーバー)後.発熱および意識レベル低下.
医療関連脳室炎および髄膜炎に関するIDSAガイドライン参照(
Clin Infect Dis 64: e34, 2017
).
シャントあるいはCNSカテーテル感染については,
髄膜炎-シャントまたはカテーテル関連
参照.
病原体
S. epidermidis
S. aureus
腸内細菌科
P. acnes
通性好気性のグラム陰性桿菌が含まれる.
P. aeruginosa
:おそらく多剤耐性.
Acinetobacter
:おそらく多剤耐性.
外傷後の再発性髄膜炎:
S. pneumoniae
,
H. influenzae
,
N. meningitidis
第一選択
VCM
15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600
μ
g・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20
μ
g/mLをめざす)
+(
CFPM
2g静注8時間ごとまたは
CAZ
2g静注8時間ごと)
MRSAが除外されればVCMを中止し,培養結果に基づいて第一選択処方を変更する.
耐性グラム陰性桿菌で静注βラクタム薬に反応しない場合は,脳室内投与が必要となることがある-コメント参照.
再発性髄膜炎の場合:
VCM
上記と同様+(
CTRX
2g静注12時間ごと,または
CTX
2g静注4時間ごと[入手できる場合])+デキサメタゾン0.15mg/kg静注6時間ごと・2~4日
第二選択
MEPM
2g(4時間以上かけて)静注8時間ごとに繰り返す+
VCM
同上
脳脊髄液ドレナージによる薬剤喪失がある患者/ない患者での母集団薬物動態解析からの用量.脳脊髄液ドレナージが150mL/日以下の場合,上記処方は最も目標濃度達成確率が高い(
Antimicrob Agents Chemother 60: 6619, 2016
).
重症ペニシリン/セファロスポリンアレルギーの場合:グラム陰性菌感染の可能性があれば,MEPMを
AZT
2g静注6~8時間ごと,または
CPFX
400mg静注8~12時間ごとに代える.
コメント
S. pneumoniae
に対してVCM単独は最良の選択ではない.
S. pneumoniae
の感受性が確認されればCTRXまたはCTXに変更する.
薬剤耐性腸内細菌または
P. aeruginosa
による髄膜炎なら,付加的な側脳室または髄腔内治療を検討する.
脳室内投与には必ず防腐剤フリーの薬剤を使用し,初回投与後1時間はカテーテルをクランプ/閉鎖すること.
脳側室への点滴のための成人1日用量(mg)(
J Microbiol Immunol Infect 47: 204, 2014
):
VCM 10~20mg
AMK 30mg
GM 4~8mg
TOB 5~20mg
コリスチン(Colistimethateナトリウム塩)10mg1日1回または5mg12時間ごと
ポリミキシンB 5mg
Acinetobacter
属による髄膜炎の治療:
Lancet Infect Dis 9: 245, 2009
,
Antimicrob Agents Chemother 57: 1938, 2013
,
Antimicrob Agents Chemother 56: 4416, 2012
.
予防についての注:Chlorhexidineを脳室造瘻術の出口部の皮膚に塗布したところ,髄膜脳室炎の発症率が低下した(
Clin Infect Dis 62: 404, 2016
).
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2024/08/26