日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

髄膜炎-N. meningitidis  (2025/05/20 更新)
N. meningitidisによる髄膜炎,特異的治療


臨床状況

  • N. meningitidisによる髄膜炎の特異的治療
  • 脳脊髄液培養または血液培養でN. meningitidis陽性の脳脊髄液異常がある.
  • 患者は発熱,頭痛±(髄膜症状,精神状態の変化,点状出血)を示す.
  • 化学予防についてはコメント参照.
  • 高リスク患者:脾摘後,先天性あるいは医原性(発作性夜間ヘモグロビン尿症に対するエクリズマブ使用)による終末補体経路の機能的な欠損.

病原体

  • Neisseria meningitidis

第一選択

  • CTRX 2g静注12時間ごと・7日:望ましい処方
  • 小児:50mg/kg静注(最大2g)12時間ごと
  • PCG 400万単位静注4時間ごと・7日:使用する場合はin vitro感受性を確認すること(MIC<0.1μg/mL)
  • 小児:30万単位/kg/日 4~6回に分割

第二選択

  • MEPM 2g静注8時間ごと
  • CTX 2g静注4~6時間ごと
  • 小児:CTX 体重と在胎期間に基づく用量
  • ABPC 2g静注4時間ごと
  • 小児:150~200mg/kg/日 6回に分割
  • 重症βラクタムアレルギーに対してCPFX 400mg 静注8時間ごと(臨床経験は限られている;コメント参照)
  • CP 12.5mg/kg(1gまで)静注6時間ごと(おそらくは他の処方より有効性が低く[J Antimicrob Chemother 70: 979, 2015],他の選択肢が使用可能な場合には推奨されない)

抗微生物薬適正使用

予防

  • 感染の急激な多発状況では,髄膜炎菌Bワクチンの処方が異なってくる可能性がある.
  • CTRX以外の薬剤を使用する場合には,曝露後化学予防(下記)で用いられると同量のCTRX,RFP,CPFXを投与して鼻腔の除菌を行うこと

コメント

  • CPFXはin vitroでの活性が高く,脳脊髄液中で治療濃度に達する可能性が大きいが,臨床経験はまったく少なく,重症ペニシリンまたはβラクタムアレルギーの場合のみの使用に限定するべきである.
  • N. meningitidisによる髄膜炎に対してデキサメタゾンの有効性は証明されておらず,微生物学的診断が明らかになる前に投与開始されていたなら中断してもよい(総説としては Cochrane Database Syst Rev 6: CD004405, 2013参照).
  • 化学予防
  • RFP 10mg/kg(最大用量600mg)12時間ごと・2日(成人または生後>1カ月の小児)
  • CTRX 1回筋注††:250mg(成人)または125mg(15歳未満の小児)
  • CPFX 500mg1回(年齢>18歳.妊婦や授乳中の女性,CPFX耐性株が多い地域では推奨されない)

(††:米国では処方される)

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2025/05/19