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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
術後感染症の予防-産科・婦人科的手術
(
2023/10/24 更新
)
子宮摘出術,帝王切開,中絶
臨床状況
産科・婦人科的手術時の抗菌薬による感染予防.
経膣または経腹子宮摘出術
帝王切開
外科的中絶
2013年の診療ガイドライン:
Am J Health Syst Pharm 70: 195, 2013
.
術後感染症の予防-概説
も参照.
病原体
膣内常在菌叢:グラム陽性,グラム陰性の好気性および嫌気性細菌を含む
当然のことながら,術後感染は複数菌による場合が多い:
E. coli
または他の好気性グラム陰性桿菌+
Enterococcus
属+
Bacteroides
属+嫌気性
Streptococcus
属
第一選択
経膣または経腹子宮摘出術
(
CEZ
または
Cefoxitin
または
Cefotetan
2g)静注1回・切開前の60分以内,または
ABPC/SBT
3g静注1回
帝王切開
CEZ
2g静注1回(緊急帝王切開の場合は+
AZM
500mg静注1回,コメント参照)
肥満女性での術後予防:CEZ1回投与に追加して,(
CEX
500mg+
MNZ
500mg)8時間ごと・48時間を帝王切開後に投与(
JAMA 318: 1026, 2017
;
JAMA 318: 1012, 2017
).
大量出血(>1500mL)の場合または手術が長時間にわたる場合には,
CEZ
2g静注の第2回投与が推奨される(
Am J Health Syst Pharm 70: 195, 2013
).
IgE媒介のβラクタムアレルギーの場合については,下記第二選択参照
外科的中絶(妊娠第1期)
DOXY
200mg経口,処置1時間前に100mg
第二選択
帝王切開
IgE媒介βラクタムアレルギー:
CLDM
900mg静注+(
GM
または
TOB
5mg/kg静注)1回
βラクタム関連の発疹があるか,アレルギー病歴が不確かな場合,
CEZ
による予防がより効果的
文献:
Obstet Gynecol 132: 948, 2018
.
子宮摘出術
(
VCM
+
アミノグリコシド系
)または(
VCM
+
AZT
)または(
CLDM
+
AZT
)
コメント
経膣または経腹子宮摘出術と細菌性膣症:手術の前に細菌性膣症を治療する.
子宮摘出術でグラム陰性菌をカバーするために,施設のアンチバイオグラムで標的菌種の感受性が示唆されれば,
フルオロキノロン系
を
CLDM
または
VCM
との併用で使用する方法もありうる.
早期破水または自然分娩からの帝王切開:
予防投与により子宮内膜炎/創感染のリスクが減少.従来の方法では,児への抗菌薬の曝露を避けるために臍帯クランプ後に抗菌薬を投与していた.しかし最近の研究では,切開前の抗菌薬投与のほうが手術部位感染(
Obstet Gynecol 115: 187, 2010
;
Am J Obstet Gynecol 199: 310.e1, 2008
)および子宮内膜炎(
Am J Obstet Gynecol 196: 455.e1, 2007
)が少ないことが示唆されている.
緊急帝王切開を対象とした前向きランダム化プラセボ対照試験では,CEZによる予防にAZM静注1回を追加することにより,子宮内膜炎および創感染の発症率が有意に低下した(
N Engl J Med 375: 1231, 2016
;
N Engl J Med 375: 1284, 2016
).
最近,動物を用いた研究結果から,新生児常在菌叢に対する抗菌薬の長期的影響について問題提起されている(
Nature 488: 621, 2012
).
外科的中絶
メタアナリシスでは,抗菌薬予防投与はリスクの大きさにかかわらず有用であるとされた(
Obstet Gynecol 87: 884, 1996
).
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2023/10/23