日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

好中球減少症-発熱,高リスク  (2025/11/25 更新)
発熱性好中球減少症 高リスク・入院患者


臨床状況

  • 発熱性好中球減少症:癌化学療法後または同種骨髄移植後患者で,発熱(≧38.3℃の発熱が1時間以上,または38℃以上の熱が続く),好中球減少(好中球絶対数<500~<1000/μL)がみられる場合.
  • 高リスク:入院中の発熱,重大な医学的合併症または臨床的に不安定,予想される好中球数≦100/μLかつ≧7日,肝または腎不全,治療されていない/進行性のがん,肺炎または他の複雑性感染,粘膜炎 Grade 3~4,MASCC(Multinational Association of Supportive Care in Cancer)リスクインデックススコア21未満,アレムツズマブ.

病原体

  • 真菌:Candida属.糸状菌(AspergillusFusariumなど)もある
  • ウイルス性:呼吸器ウイルスが最も多い.HSVおよびVZV

第一選択

  • 発熱に対する経験的治療:
  • CFPM 2g静注8時間ごと,またはMEPM 1~2g静注8時間ごと,または IPM/CS 500mg静注6時間ごと,または DRPM 500mg静注8時間ごと
  • グラム陽性菌に対する強力な処方(中心静脈カテーテル関連の血流感染,重症粘膜炎,皮膚・軟部組織感染,肺炎,血行動態の不安定が疑われる場合):VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)
  • 血行動態が不安定な場合:(TOB 5.1mg/kg静注24時間ごと+ VCM 上記と同様+エキノキャンディン)追加を検討(下記参照)
  • 発熱が持続,感染源が特定できない場合,2~4日目の経験的治療
  • 臨床的に安定:感染部位を明らかにするために精密検査を続ける.胸部および副鼻腔CTを考慮.症状に基づいて画像検査,真菌血清学検査を行う.
  • 発熱が持続,感染源が特定できない場合,4~7日目の経験的治療
  • 感染部位を明らかにするために精密検査を続ける.
  • Candida予防を行わない場合:次の薬剤の追加を考慮する.CPFG 70mg静注1日目,その後50mg静注24時間ごと,またはMCFG 100mg静注24時間ごと,またはAnidulafungin 200mg静注1回,その後100mg静注24時間ごと
  • Candida予防を行う場合:VRCZ 6mg/kg静注または経口12時間ごと・2回,その後4mg/kg静注または経口12時間ごとの追加を考慮

第二選択

  • 発熱に対する初期治療:CAZ 2g静注8~12時間ごと.治療期間についてはコメント参照
  • グラム陽性菌に対する強力な処方:LZD 600mg静注または経口12時間ごと,または DAP 6mg/kg静注24時間ごと(肺炎の懸念がない場合)
  • Candida および糸状菌に対する経験的な抗真菌薬治療:L-AMB 3~5mg/kg静注24時間ごと

治療期間/抗微生物薬適正使用

治療期間
  • 経験的治療の治療期間:臨床的に回復し72時間無熱となるまで
  • 多施設ランダム化試験において,好中球絶対数≧0.5×109/Lとなるまで経験的な抗菌薬治療を続けた対照群と,臨床的な回復および72時間の無熱が得られた場合に経験的な抗菌薬治療を中断した試験群とが比較された.早期の治療中断は,骨髄機能回復まで経験的な抗菌薬治療を続けた場合と同等に安全であった(Lancet Hematol 4: e573, 2017
抗微生物薬適正使用
  • 好中球減少症患者での発熱で,感染の明確なエビデンスがない場合には感染症以外の原因を考えなければならない.薬剤熱,腫瘍熱,輸血反応,生着症候群,Sweet症候群などとの鑑別診断を行う.完全な鑑別診断は,Clin Infect Dis 79: 1333, 2024にみられる.

コメント

  • 感染性合併症の高リスクな患者では,発熱性好中球減少が継続している間は顆粒球コロニー刺激因子の追加投与を考慮してよい.
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2025/11/25