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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
尿路感染症,急性-小児,月齢2カ月以上
(
2024/07/16 更新
)
臨床状況
月齢2カ月以上の小児の急性尿路感染症.
尿検査異常(白血球,白血球エステラーゼ,亜硝酸塩)および尿中病原体>5万CFU(コロニー形成単位)/mLに基づいて診断する.
バッグ尿の培養は信頼性が低く行うべきではないが,尿検査の検体としては用いてもよい.
年長の小児および青年では,確実に採取できれば,クリーンキャッチ尿(中間尿)を用いてもよい.
重篤感のある低年齢児では血液培養を行うこと.
側腹痛,持続性発熱その他の全身症状があれば,上部尿路感染の可能性がある.
病原体
腸内細菌(
E. coli
,
Klebsiella
,
Enterobacter
,
Citrobacter
),
Enterococcus属
第一選択
重症の小児および経口治療が不可能な患者では静注治療が望ましい.経口治療も一般的には同等の効果がある.
経験的治療は各施設の感受性パターンに応じて行う必要がある.
経験的治療で用いられる静注治療の選択肢
CTRX
75~100mg/kg静注1日1回
CAZ
50mg/kg静注8時間ごと
CTX
50mg/kg静注8時間ごと(入手可能な場合)
経口治療の選択肢
AMPC/CVA
10~15mg/kg経口8時間ごと
ST
6~12mg/kg/日(Trimethoprim成分として)経口12時間ごとに分割
CEX
50~100mg/kg/日経口8時間ごとに分割
CFIX
8mg/kg経口1日1回
CPDX-PR
10mg/kg/日12時間ごとに分割
第二選択
CPFX
20~30mg/kg2回に分割,最大1500mg/日まで
ESBLやその他の耐性菌については,
グラム陰性桿菌,βラクタム薬耐性-概説
参照.
抗微生物薬適正使用
新鮮な尿での尿検査が正常なら,尿路感染症を除外してもよい.
無症候性細菌尿は治療しない.
感受性検査結果が得られたら,狭域抗菌薬に変更する.
5日治療は10日治療に対して非劣性だが,この臨床試験結果は腎盂腎炎に完全に適応可能ではない(
Pediatrics 153: e2023062598, 2024
).
病状が改善し,経口治療が可能になったら経口に切り替える.思春期以降の女性は成人として治療する.
コメント
月齢<24カ月の小児での最初の尿路感染では,6週以内に腎超音波検査を行うこと.重症の場合はただちに行う.
月齢>24カ月の小児では,尿路感染の再発または非定型感染があれば腎超音波検査を行うこと.
排尿時膀胱尿道造影(VCUG)は,超音波検査で水腎症,重度の逆流を示唆するエビデンス,閉塞が示された場合以外には,現在ルーチンには推奨されない.
FDAは,年齢18歳未満の単純性尿路感染症へのCPFXの使用は承認していない(この年齢層の複雑性尿路感染症に対しては承認).
診療ガイドラインと再発性尿路感染症予防を考慮するタイミングについての議論は
Pediatrics 128: 595, 2011
を参照.
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2024/07/16