日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Pasteurella multocida  (2021/7/27 更新)


臨床状況

  • ネコ/イヌ咬傷の治療
  • Psteurellaはネコとイヌの口腔の正常常在菌叢に含まれる.
  • ネコやイヌによる咬傷,ときにはなめられた結果,ヒトで軟部組織感染または菌血症まで引き起こす.
  • 感染確率が高いため,予防的抗菌薬治療が適応となる
  • 創傷部の培養,洗浄およびデブリドマンが必要.
  • 破傷風毒素接種および狂犬病予防の必要性を評価する.

分類

  • グラム陰性球桿菌

第一選択

経験的治療
  • 望まれる抗菌スペクトラム:①動物口腔内から分離されたPasteurella属,および患者皮膚上から分離された②S. aureus,③Streptococcus属に対して活性が予想される薬剤:
  • AMPC/CVA 875/125mg錠,1錠経口1日2回または1000/62.5mg錠,2錠経口1日2回.治療期間は決まっていないが,7~10日が合理的
特異的/標的治療
  • 培養結果が Pasteurella属(のみ)であり,アレルギーの問題もない場合:
  • Penicillin VK 500mg経口1日4回食前および就寝前,または
  • AMPC 500mg経口1日3回食前

第二選択

  • IgEを介する重症ペニシリンアレルギーで,Pasteurella属が培養陽性,S. aureusは陰性の場合:
  • CXM-AX 500mg経口12時間ごと
  • LVFX 750mg経口1日1回
  • MFLX 400mg経口1日1回
  • DOXY 100mg経口1日2回
  • ST 2錠経口1日2回

抗微生物薬適正使用

  • Paseurella属は一部のβラクタム薬に感性だが,すべてに感性ではない.
  • ペニシリンアレルギーの場合,CEX,CLDM,EMを用いないこと.in vitroでの耐性が多い.

コメント

  • EM,CLDM,VCMに高度耐性.
  • CEX,CEZ,AZM,Nafcillin,アミノグリコシド系には中等度感受性.
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2021/07/20