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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-
Klebsiella
属
(
2024/09/10 更新
)
Klebsiella
肺炎に対する特異的治療
臨床状況
肺炎の所見および症状
医療関連肺炎(HCAP)または院内肺炎(HAP).
アルコール依存症と肝臓疾患が市中肺炎(CAP)のリスク因子.
経験的および特異的治療.
抗菌薬耐性株に対する治療の詳細については
Klebsiella属
も参照.
病原体
Klebsiella pneumoniae
その他の
Klebsiella属
第一選択
Klebsiella
が検出されたが,in vitro感受性結果は得られていない場合:
軽症,免疫正常患者,ESBL産生または多剤耐性菌の疑いが低い場合
年齢60歳未満なら
CTRX
2g静注24時間ごと,60歳以上なら1g静注
CPFX
400mg静注12時間ごとまたは750mg経口1日2回,または
LVFX
750mg経口/静注24時間ごと
救命救急室および/または免疫不全,多剤耐性の可能性がある場合
MEPM
1~2g静注8時間ごと
培養およびin vitro感受性検査結果に基づく特異的治療:
CTRX,CAZ,フルオロキノロン系薬に感受性の場合
年齢60歳未満なら
CTRX
2g静注24時間ごと,60歳以上なら1g静注
CPFX
400mg静注12時間ごとまたは750mg経口1日2回,または
LVFX
750mg経口/静注24時間ごと
CTRX,CAZに耐性(ESBL産生菌)の場合
Ertapenem
1g静注24時間ごと,または
MEPM
2g静注8時間ごと
カルバペネム耐性菌でセリン型カルバペネマーゼの可能性が高い場合
CAZ/Avibactam
2.5g静注8時間ごと,または
MEPM/Vaborbactam
4g(MEPM 2g+Vaborbactam 2g)3時間以上かけて静注8時間ごと
メタロβラクタマーゼ産生が疑われるか確認され,同時に全βラクタム薬,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬,STに耐性の場合
有効性の証明された治療法なし,感染症専門医へのコンサルテーションが強く推奨される
第二選択
CTRXおよびCAZに感受性の場合
PIPC/TAZ
初回4.5g30分以上かけて静注,その4時間後から3.375g4時間以上かけて静注を開始,8時間ごとに繰り返す
CFPM
2g静注8時間ごと
ST
10mg/kg(トリメトプリムとして)1日2~3回に分割
CTRX,CAZに耐性(ESBL産生菌)の場合
CTLZ/TAZ
1.5g静注8時間ごと(コメント参照)
カルバペネム耐性,メタロβラクタマーゼ産生が疑われ,同時に全βラクタム薬,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬,STに耐性の場合
CAZ/Avibactam
2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと+
AZT
2g3時間以上かけて静注6時間ごと(コメント参照),または
PL-B
初回2.5mg/kg2時間かけて静注,その12時間後から1.5mg/kg1時間かけて静注を開始,12時間ごとに繰り返す+可能であれば他の活性のある薬剤(アミノグリコシド系薬以外),他の選択肢がなければ
MEPM
Cefiderocol
:2g3時間以上かけて静注8時間ごと(複雑性尿路感染症)(コメント参照)
抗微生物薬適正使用
治療期間の明確な定義はない.典型的には10~14日であるが,肺炎の徴候や症状が急速に消失した患者や薬剤感受性菌の場合には,より短期間(8~10日など)の治療で十分な場合もある.複雑な症例(肺水腫,膿瘍など)や薬剤耐性菌による肺炎には,より長期間の治療(3~4週間など)が必要な場合がある.
CAZ/AvibactamおよびMEPM/Vaborbactamは,カルバペネマーゼ産生菌が検出された患者でのみ使用すること
プロカルシトニンは治療期間決定に役立つことがある
コメント
Cefiderocol:FDAは,Cefiderocol感性細菌による複雑性尿路感染症患者で,治療選択肢がないか限られているか場合に承認した.敗血症,肺炎,菌血症,複雑性尿路感染症患者を対象にCefiderocolと最適治療(Best Available Therapy:BAT)を比較したオープンラベルランダム化臨床試験では,28日死亡率はCefiderocol群24.8%,BAT群18.4%だった(統計学的有意差なし).
ESBL産生株は,すべてのセファロスポリン系に耐性で,すべてのフルオロキノロン系,TMP/SMX,およびアミノグリコシド系に同時耐性のことも多いと考えられる.
FOM静注は,ヨーロッパでは注射剤が入手可能であり,in virtoでしばしば活性を示す(
Antimicrob Agents Chemother 54: 526, 2010
).
新しいテトラサイクリン系薬であるOmadacycline(急性細菌性皮膚・軟部組織感染症および細菌性市中肺炎の治療にFDA承認)およびErabacycline(腹腔内感染治療にのみFDA承認)は,in vitroではカルバペネム耐性株に活性があることがあるが,臨床データは知られていない.
CTLZ/TAZはESBL産生株に対してin vitroで活性を示す.FDAは複雑性尿路感染症,腹腔内感染症,院内肺炎,人工呼吸器関連肺炎の治療に承認した.ESBL産生菌感染患者におけるアウトカムは,これらの感染症全体の患者と同等だった.
CAZ/Avibactamはin vitroでセリン型カルバペネマーゼ産生株に活性がある.
微生物学的無効例での耐性出現が報告されている(
Clin Infect Dis 63: 1615, 2016
).
オキサカルバペネマーゼ(ただしOxa-48およびOxa-48類似産生菌株は一般的に感受性が高い)およびメタロβラクタマーゼ産生菌により不活化される.
AZTとの併用は,in vitroではメタロβラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌に活性があったが(
Antimicrob Agents Chemother 61: e02243, 2017
),臨床的有効性は証明されていない.
MEPM/Vaborbactamは,ESBLおよびメタロ以外の(セリン型)カルバペネマーゼ存在下でも活性と考えられる.
オキサカルバペネマーゼ(Oxa-48)およびメタロβラクタマーゼ産生菌に対して有効でない.
Oxa-48およびOxa-48様産生菌に対する治療法の総論:
Antimicrob Agents Chemother 66: e0021622, 2022
.
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2024/09/09