日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

骨髄炎-隣接する感染巣からの二次的な骨髄炎  (2024/11/05 更新)
隣接する感染巣からの二次的な骨髄炎,末梢循環不全を伴わない


臨床状況

  • 隣接する感染巣からの二次的な骨髄炎で末梢循環不全を伴わない.
  • 長管骨または骨折内固定後.
  • 敗血症であれば経験的治療の適応.敗血症でなければ培養結果を待ってもよい.

病原体

  • グラム陰性桿菌

第一選択

  • 経験的治療(急性患者に対する治療,急性でなければ,培養および感受性検査データを待つ)
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)+(CAZ 2g静注8時間ごとまたはCFPM 2g静注12時間ごと)
  • 特異的治療
  • 感受性のあるグラム陰性桿菌:CPFX 750mg静注/経口1日2回,またはLVFX 750mg静注/経口24時間ごと
  • Methicillin感受性Staphylococcus属:Nafcillin 2g静注4時間ごと,またはOxacillin 2g静注4時間ごと,またはCEZ 2g静注8時間ごと
  • Methicillin耐性Staphylococcus属:VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが,そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)

第二選択

  • 急性期の患者に対する経験的治療
  • LZD 600mg経口/静注1日2回 またはDAP 10mg/kg静注24時間ごと+MEPM 1g静注8時間ごと
  • Methicillin感受性Staphylococcus属またはMethicillin耐性Staphylococcus属に対する経口処方:感受性確定後
  • CPFX 750mg経口1日2回+RFP 300~450mg経口1日2回
  • LVFX 750mg経口1日1回+RFP 600mg経口1日1回
  • LZD 600mg経口1日2回(2~3週を超えて使用すると毒性の可能性あり)

抗微生物薬適正使用

  • 可能なら,適切な培養が得られるまで経験的治療は行わない.
  • 培養結果に基づいてDe-escalationを行う.
  • 治療期間については下記コメントを参照

コメント

  • 治療期間は十分に確立されていないが,ハードウエアが除去されているなら,一般的に6~8週間が推奨されている
  • ハードウェア感染
  • 理想的には,ハードウエア除去
  • ハードウエア感染初期(症状<4週)
  • ハードウエア除去なら,その後6週間治療
  • 骨の融合がないためにハードウエアを温存する場合には,骨融合まで治療;いったんハードウエアが除去されれば,さらに6週追加の治療を行う
  • 感染晩期
  • ハードウェアを除去し,その後6週間治療
  • ハードウエアを温存する場合には,3~6ヵ月間治療(ハードウエアが温存されている場合には,治療失敗や再発のリスクがある)
  • ハードウエアが除去されれば,その後さらに6週間治療
  • 骨との持続的な融合が不可能な場合,ハードウェアの除去と外部固定が必要となることもある.
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2024/11/05