日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

化膿性関節炎-S. aureus  (2023/05/09 更新)
S. aureusが確認された化膿性関節炎の特異的治療


臨床状況

  • 滑液中白血球>2万5千(>5万ならより確実),確定診断された化膿性関節炎.
  • 肩鎖関節または仙腸関節の化膿性関節炎で,多くはS. aureus による.
  • グラム染色で集塊状のグラム陽性球菌,および/または滑液または血液培養でのS. aureusの分離.
  • リスク因子としては,関節リウマチ,糖尿病,静注薬使用,皮膚感染症などがある.

病原体

第一選択

  • 抗菌薬治療に加えて,針吸引(必要に応じて繰り返す),関節鏡,関節切開により必ずドレナージまたはデブリドマンを行う.
  • 特異的抗菌薬治療(治療期間についてはコメントを参照)
  • MRSA:
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)・2~3週
  • MSSA:
  • Nafcillin 1.5~2g静注4時間ごとまたはOxacillin 1.5~2g静注4時間ごと・2~3週,またはFlucloxacillin 2g静注6時間ごと・2~3週間,または
  • CEZ 2g静注8時間ごと・2~3週

第二選択

  • MRSA:
  • DAP 6mg/kg静注24時間ごと,または
  • LZD 600mg経口または静注12時間ごと
  • MSSA:βラクタムへのI型過敏症または重大な有害反応歴のある患者
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす)・2~3週
  • DAP 6mg/kg静注24時間ごと
  • LZD 600mg経口または静注12時間ごと

(▼:FDA未承認)

抗微生物薬適正使用

  • in vitroでの感受性が確認されているなら,(どれもFDA承認のものではないが)以下のような経口処方も可能:CLDM 600mg 8時間ごと,または([ST 4~5mg/kg経口(トリメトプリムとして)1日2回,またはLVFX 750mg経口 1日1回]+RFP 600mg経口 24時間ごと)またはLZD 600mg経口またはCEX 500mg経口6時間ごと

コメント

  • 菌血症を合併する化膿性関節炎患者では4週治療を考慮すること.
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2023/05/08