日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺炎-S. pneumoniae  (2023/06/06 更新)
S. pneumoniae 肺炎の特異的治療


臨床状況

  • 市中肺炎.S. pneumoniaeに対する特異的治療.
  • S. pneumoniae について血液または喀痰培養陽性,または尿中抗原陽性,または核酸増幅検査 (NAAT) 陽性.

病原体

  • Streptococcus pneumoniae

第一選択

  • ペニシリン感受性菌(MIC≦2μg/mL)
静注
  • PCG 200万単位静注4時間ごと
  • CTRX 2g静注24時間ごと,またはCTX 2g静注8時間ごと
経口
  • AMPC 1g経口1日3回
  • DOXY 100mg経口1日2回
  • ペニシリン耐性または中等度耐性菌(MIC>2μg/mL)
  • CTRX 2g静注24時間ごと,またはCTX 2g静注8時間ごと
  • VCM 15~20mg/kg8~12時間ごと(ペニシリンMIC>4μg/mLの場合には推奨されうる)

第二選択

  • ペニシリン感受性,中等度,または耐性(高度)
  • LVFX 750mg経口または静注24時間ごと,またはMFLX 400mg経口または静注†
  • LZD 600mg経口または静注12時間ごと
  • CLDM 600mg静注8時間ごと(菌株がペニシリンに対して中等度耐性または耐性なら感受性を確認すること)

(†:日本にない剤形)

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間:患者の解熱後3~5日(最低5日の治療).耐性が増加しているため,マクロライドを使用する場合には感受性を確認すること.
  • βラクタム系およびマクロライド系への耐性が増加しており,特に欧州ではマクロライド系への耐性が多い(Curr Opin Pulm Med 19: 209, 2013).

コメント

  • 観察研究(Clin Infect Dis 75: 2219, 2022)では,肺炎やS.pneumoniae菌血症患者に対し,βラクタム薬にAZMを2日間のみ追加することで死亡率が45%減少した.
  • 肺炎患者の10~15%でS. pneumoniaeが同定される.S. pneumoniaeの病原体としての検出はここ数年減少しており,呼吸器ウイルス(25%)が増加している(Clin Infect Dis 65: 1736, 2017).
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2023/06/05