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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
髄膜炎-生後1カ月~50歳
(
2024/08/27 更新
)
急性細菌性髄膜炎,年齢<50歳,経験的治療
臨床状況
髄膜炎の典型的症状,頭痛,発熱,精神状態の変化,項部硬直,嘔吐,けいれん.
脳脊髄液中の細胞増加症(白血球はつねにではないが>500となることが多い)は,主として多形核白血球の増加である.
注:頭部CTスキャンを待つあいだに,腰椎穿刺及び経験的な抗菌薬治療を遅らせてはならない(
Clin Infect Dis 66: 321, 2018
).
病原体
S. pneumoniae
N. meningitidis
H. influenzae
(現在ではまれ)
L. monocytogenes
(
免疫抑制または免疫不全患者,妊婦)
S. agalactiae
および
E. coli
(生後1~23カ月)
第一選択
成人
(
CTX
2g静注4~6時間ごと,または
CTRX
2g静注12時間ごと)+
VCM
45~60mg/kg/日静注6~8時間ごとに分割+デキサメタゾン 0.15mg/kg静注6時間ごと・2~4日(抗菌薬初回投与時または直前に投与)
Listeria
の疑いがあれば,
ABPC
2g静注4時間ごとを追加.脳脊髄液が
Listeria
培養陽性であれば,デキサメタゾン中止.
小児
(
CTX
225~300mg/kg/日静注6~8時間ごとに分割,または
CTRX
100mg/kg/日静注12時間ごとに分割)+
VCM
60mg/kg/日6時間ごとに分割+デキサメタゾン 0.15mg/kg静注6時間ごと・2~4日(
H. influenza
に対し,抗菌薬初回投与時または直前に投与).小児における
S. pneumoniae
に対するデキサメタゾン使用については十分なデータがない.
第二選択
成人
MEPM
2g静注8時間ごと+
VCM
500~750mg静注6時間ごと(最大2~3g/日まで)+デキサメタゾン(第一選択参照)
重症ペニシリンアレルギーの患者:
CP
12.5mg/kg静注6時間ごと(最大4g/日)(
N. meningitidis
をカバーするため)+
ST
5mg/kg・6~8時間ごと(免疫不全患者の場合に
Listeria
をカバーするため)+
VCM
小児
MEPM
40mg/kg静注8時間ごと+
VCM
60mg/kg/日6時間ごと(成人通常用量の2倍)±デキサメタゾン(第一選択参照)
抗微生物薬適正使用
経験的なCTRXまたはCTXからペニシリンまたはABPCにスイッチする前に
N. meningitidis
感受性試験を行うことが推奨される:米国では,ペニシリンおよび/またはCPFX耐性の増加が報告されている(
MMWR 69: 735, 2020
;
CDC HAN No. 433, 2020年6月18日
)
コメント
腰椎穿刺の繰り返しはルーチンには推奨されない.
ペニシリン耐性
S. pneumoniae
の患者ではCPの治療失敗率が高い(
Lancet 339: 405, 1992
;
Lancet 342:240,1993
).
デキサメタゾン:
H. influenzae
b感染が確認された(ただし
S. pneumoniae
は確認されていない)小児および
S. pneumoniae
感染の成人で,有用性が示されており(
Neurology 79: 2177, 2012
;
Lancet 380: 1693, 2012
),また新生児でも有用な可能性がある(
Cochrane Database Syst Rev (11): CD010435, 2015
).Hibワクチン接種率の高い地域での小児に対する使用には議論がある(
Eur J Paediatr Neurol 17: 24, 2013
).
N. meningitidi
sに対する予防接種(CDC)参照
小児の予防接種スケジュール(
出生~18歳
)
成人の予防接種スケジュール(
ワクチンおよび年齢別
)
文献:
JAMA 328: 2147, 2022
.
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2024/08/26