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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
アメーバ性髄膜脳炎
(
2025/11/11 更新
)
臨床状況
原虫感染による髄膜脳炎で,原因となる病原体によって,急性髄膜炎から亜急性慢性病変まで異なる病状を示す.
Naegleria fowleri
および
Acanthamoeba
属は,主に湖,プール,水道水,冷暖房機の中にみられる.
Balamuthia mandrillaris
および
Acanthamoeba
属は慢性肉芽腫性髄膜炎を起こす (
Clin Infect Dis 51: e7, 2010
).
Balamuthia
は,最初に皮膚病変として発症することが多い.
1974~2016年の米国での経験:
Clin Infect Dis 68: 1815, 2019
.
Acanthamoeba castellani
はコンタクトレンズ関連の角膜炎に関連する.
角膜炎-アカントアメーバによる
を参照.
Naegleria fowleri
による原発性の急性化膿性髄膜炎は死亡率99%(
Epidemiol Infect 138: 968, 2010
).
CDCには自由生活アメーバのプログラムがある.電話(終日)770-488-710,ただしMiltefosineの供給は現在ではない.
診断/病原体
診断
CTによる脳病変はリング状造影効果または出血性となることがある.脳のどの部位にもひとつまたは多数の病変部位がある.
Naegleria
の病理学的検査.運動性栄養型を脳脊髄液のウエットマウントで確認,ギムザ染色スメアは典型的な栄養型の形態を示す.脳脊髄液および脳組織中の
N. fowleri
の検出にPCRが使用されることがある.
B. mandrillaris
の検出には,組織標本の免疫蛍光染色または免疫ペルオキシダーゼ染色が最も信頼性が高いが,利用可能ならPCRを行う.
Acanthamoeba
の栄養型および嚢胞は,生検標本(脳,皮膚,角膜)または角膜切屑の染色スメアの鏡検で確認できるが,脳脊髄液中には少ない.
B. mandrillaris
および
Acanthamoeba
属
どちらも診断には脳組織が必要.脳脊髄液PCRは感度が低い.
病原体
アカントアメーバ(
Acanthamoeba
)属:ほとんど全例が免疫不全患者
Balamuthia mandrillaris
:免疫正常者でも免疫不全者でも起こる.
フォーラーネグレリア(
Naegleria fowleri
)
(死亡率>95%.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 57: 573, 2008
):ほとんど全例が免疫正常者
Sappinia diploidea
(ヒトでの症例は少ない)
第一選択
Acanthamoeba
属
ペンタミジン
4mg/kg静注1日1回+
Miltefosine
(食事とともに)+
体重>45kg:50mg経口1日3回
成人・体重<45kg:50mg経口1日2回
小児・体重<45kg:1.25mg/kg経口1日2回(最大1日100mg)+
糸状菌に活性のあるアゾール薬(
VRCZ
,
PSCZ
,
ISCZ
)
スルファジアジン
,
ST
,
5-FC
,
AZM
の追加を考慮する
注
健常宿主ではペンタミジンの中枢神経移行性は低いが,臨床的には奏功することがある.
AMPH-Bは使用しないこと.in vitroで活性なし.
Balamuthia mandrillaris
(
Clin Infect Dis 51: e7, 2010
参照)
ペンタミジン
4mg/kg静注1日1回+
Miltefosine
(食事とともに)+
成人・体重>45kg:50mg経口1日3回
成人・体重<45kg:50mg経口1日2回
小児・体重<45kg:1.25mg/kg経口1日2回(最大1日100mg)
VRCZ
,
PSCZ
,
ISCZ
(これらはすべて糸状菌に活性あり:用量については臨床薬剤師に相談する)
アルベンダゾール
,
スルファジアジン
,
ST
,
5-FC
,
AZM
の追加を考慮する
注
健常宿主ではペンタミジンの中枢神経移行性は低いが,臨床的には奏功することがある.
AMPH-Bは使用しないこと.in vitroで活性なし.
第二選択参照
Naegleria fowleri
AMPH-B
1.5mg/kg/日(2回に分割投与)・3日,その後1mg/kg/日で14日コースを完遂±髄腔内投与+
RFP 10mg/kg/日+
PSCZ 300mg1日2回・2日,その後1日1回+
Miltefosine(食事とともに)+
成人・体重>45kg:50mg経口1日3回
成人・体重<45kg:50mg経口1日2回
小児・体重<45kg:1.25mg/kg経口1日2回(最大1日100mg)
AZM 500mg静注/経口1日1回+
デキサメタゾン0.6mg/kg/日4回に分割静注・最初の数日
第二選択
なし,コメント参照
治療期間
生存者が少ないため,不明
コメント
米国では11例,
Naegleria fowleri
の回復者の報告がある(
Clin Infect Dis 62: 774, 2016
).回復は早期診断と早期のAMPH-Bにかかっている.
L-AMBは動物モデルでは効果が低かった.
Balamuthia
肉芽腫性アメーバ脳炎のNitroxolineによる劇的な回復の1症例(
Emerg Infect Dis 29: 197, 2023
)
Nitroxolineの薬理学的総説:
Drug Discov Today 30: 104419, 2025
.
Nitroxolineを,
Balamuthia
および
Acanthamoeba
の両者のIND拡大アクセス下にあるAsieris Pharmaceuticalから入手するための手順については,<natasha.spottiswoode@ucsf.edu>またはCDCに連絡すること
Miltefosineを含む併用治療で
Balamuthia
および
Acanthamoeba
から長期に回復した症例報告が集積されつつある.
現在CDCおよび専門家の間では第一選択治療と考えられている.
Miltefosineは
www.impavido.com
から得られる.
Naegleria
に対するより有効な治療法の探索
L-AMBは,
Naegleria fowleri
に対しin vitroでより高いMICを示す.他の種についても同様だろう.
in vitroおよびマウスにおける生存実験では,
PSCZ
がもっとも速やかかつ強力な活性を示した.
PSCZ
+AZMの併用により生存率が改善された.文献:
J Infect Dis 219: 1095, 2019
ペンタミジンはいくつかの報告で臨床的な有効性が示唆されており,in vitroで一部のアメーバ種に対し優れた活性を示すが,血液脳関門が正常の場合ほとんど脳脊髄液に移行せず,また一般に非常に毒性が高い.
AMPH-B,Miltefosine,パロモマイシン,ペンタミジンイセチオン酸塩,スピラマイシンは,
B. mandrillaris
に対しては in vitroで限られた活性しかない:
J Eukaryot Microbiol 60: 539, 2013
.
ISCZはin vitroで
Acanthamoeba
に活性あり:
Antimicrob Agents Chemother 64: e02223, 2020
.
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2025/11/10