日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

角膜炎-アカントアメーバによる  (2024/08/20 更新)
原虫による角膜炎,コンタクトレンズに関連


臨床状況

  • 原虫による角膜炎は通常外傷またはソフトコンタクトレンズ使用に関連したまれな角膜感染症である.
  • 通常は片眼の虹彩への血行性間質浸潤:角膜潰瘍を引き起こすことがある.

診断/病原体

診断
  • 角膜剥離物の顕微鏡検査:共焦点顕微鏡による直接の可視化が可能な場合がある.
  • PCRまたは角膜切屑の抗体プローブは研究施設の検査部では使用可能なことがある.
病原体
  • Acanthamoeba castellani
  • Acanthamoeba polyphaga
  • その他のAcanthamoeba
  • その他の自由生活アメーバ属,Hartmannella amoebaおよびVahlkampfia amoebaなどが原因となることがある:Cornea 36: 785, 2017

第一選択

  • 局所0.02~0.2%Biguanide chlorhexidineおよび/または0.02~0.06%Polyhexamethylene biguanide(PHMB)
  • PHMBもChlorhexidineも通常は0.02%から開始する.
  • 眼科医と協力のうえで反応に応じて用量を調整する.
  • 2023年のランダム化対照比較試験では,PHMB 0.08%単独治療での治癒率は>86%であり,PHMB 0.02%とPropamidine 0.1%の併用治療と同等の有効性だった:Ophthalmoloby 131: 277, 2024
  • Propamidine(0.1%)または Hexamidine(0.1%)は入手困難で使用されることは少ない.
  • 最初の48時間は昼,夜とも最短1時間ごとに点眼,次の1週間は日中1時間ごと,その後3~4週間かけて徐々に減量する.

第二選択

  • データが乏しい.コメント参照

コメント

  • 12カ月までの治療が必要となることもある.
  • 他の治療選択肢,しかしデータは限られる
  • Miltefosine経口投与でアメーバを駆除できたが,Miltefosine投与後の炎症反応で角膜が薄くなり,穿孔の可能性があるという非対照試験での報告がある(Ocul Immunol Inflamm 29: 1576, 2021)
  • 進行した病変に対する外科的アプローチは有用性が証明されていない.
  • 角膜移植が成功することはある.
  • 早期の局所ステロイド使用は予後不良に関連するが,これについては議論がある
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2024/08/19