日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

複雑性またはカテーテル関連尿路感染症  (2025/04/08 更新)


臨床状況

  • 複雑性尿路感染症:閉塞,逆流,高窒素血症,移植.
  • Foleyカテーテルに関連した感染.カテーテル管理については,下記コメント参照
  • 閉塞を除外することが重要.

病原体

第一選択

  • 経験的治療
  • CPFX(500mg経口1日2回または徐放錠†1000mg経口24時間ごとまたは400mg静注12時間ごと)
  • LVFX 750mg経口/静注24時間ごと
  • 全身疾患があるか,多剤耐性菌のリスクが高い患者では,経験的治療として下記第二選択処方を考慮する
  • 特異的治療:細菌の同定および薬剤感受性試験の結果に基づく

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • Nitrofurantoin 100mg経口1日2回(全身感染の所見/症状[発熱,側腹痛]がない場合)
  • ST 2錠1日2回(地域のST耐性菌の検出率が<20%の場合)
  • 多剤耐性菌感染または全身疾患のリスクが高い場合(腎盂腎炎も参照)
  • PIPC/TAZ 4.5g静注(4時間以上かけて)8時間ごと
  • CFPM 2g静注12時間ごと

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間:推奨される治療期間は7~14日.上部尿路感染の所見/症状(発熱,側腹痛)があれば14日治療.カテーテル関連の尿路感染症では,症状の速やかな消失があれば7日,反応が遅ければ10~14日治療.65歳未満の女性では3日治療のコースを考慮してもよい(Clin Infect Dis 50: 625, 2010).

コメント

  • カテーテル交換:Foleyカテーテル長期留置が同時に必要な患者について,病院を対象としたプロスペクティブな研究では,膀胱カテーテルの交換には有用性がみられなかった(J Am Geriatr Soc 66: 1779, 2018).
  • 特に考慮すべき点:
  • Enterococcus属とP. aeruginosaに対し,セファロスポリン系薬とErtapnemの活性は期待できない
  • CPFXは小児(1~17歳)に対する第二選択として承認されているが,関節に対する副作用のため第一選択ではない.
  • CPFX小児用量:6~10mg/kg(最大400mg)静注8時間ごとまたは10~20mg/kg(最大750mg)経口12時間ごと.
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2025/04/07