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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
複雑性またはカテーテル関連尿路感染症
(
2025/04/08 更新
)
臨床状況
複雑性尿路感染症:閉塞,逆流,高窒素血症,移植.
Foleyカテーテルに関連した感染.カテーテル管理については,下記コメント参照
閉塞を除外することが重要.
病原体
腸内細菌科
P. aeruginosa
Enterococcus 属
S. aureus
(まれ),
Clin Infect Dis 42: 46, 2006
第一選択
経験的治療
CPFX
(500mg経口1日2回または徐放錠†1000mg経口24時間ごとまたは400mg静注12時間ごと)
LVFX
750mg経口/静注24時間ごと
全身疾患があるか,多剤耐性菌のリスクが高い患者では,経験的治療として下記第二選択処方を考慮する
特異的治療:細菌の同定および薬剤感受性試験の結果に基づく
(†:日本にない剤形)
第二選択
Nitrofurantoin
100mg経口1日2回(全身感染の所見/症状[発熱,側腹痛]がない場合)
ST
2錠1日2回(地域の
ST
耐性菌の検出率が<20%の場合)
多剤耐性菌感染または全身疾患のリスクが高い場合(
腎盂腎炎
も参照)
Ertapenem
1g静注24時間ごと
PIPC/TAZ
4.5g静注(4時間以上かけて)8時間ごと
CFPM
2g静注12時間ごと
CAZ/Avibactam
2.5g静注8時間ごと
Plazomicin
15mg/kg静注24時間ごと
抗微生物薬適正使用
カテーテル関連感染症を予防するための段階的アプローチ:
Ann Intern Med 171: S30, 2019
.
治療期間
:推奨される治療期間は7~14日.上部尿路感染の所見/症状(発熱,側腹痛)があれば14日治療.カテーテル関連の尿路感染症では,症状の速やかな消失があれば7日,反応が遅ければ10~14日治療.65歳未満の女性では3日治療のコースを考慮してもよい(
Clin Infect Dis 50: 625, 2010
).
コメント
カテーテル交換:Foleyカテーテル長期留置が同時に必要な患者について,病院を対象としたプロスペクティブな研究では,膀胱カテーテルの交換には有用性がみられなかった(
J Am Geriatr Soc 66: 1779, 2018
).
特に考慮すべき点:
Enterococcus
属と
P. aeruginosa
に対し,セファロスポリン系薬とErtapnemの活性は期待できない
CPFXは小児(1~17歳)に対する第二選択として承認されているが,関節に対する副作用のため第一選択ではない.
CPFX小児用量:6~10mg/kg(最大400mg)静注8時間ごとまたは10~20mg/kg(最大750mg)経口12時間ごと.
小児における腎盂腎炎の診断と治療に関する総説として
N Engl J Med 365: 239, 2011
参照.
IDSAガイドラインについては
Clin Infect Dis 50: 625, 2010
参照.
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2025/04/07