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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
術後感染症の予防-胃十二指腸・胆管手術
(
2017/1/10 更新
)
臨床状況
経皮的内視鏡的胃瘻造設術や膵頭十二指腸切除術(Whipple手術)など,胃十二指腸および胆管手術時の抗菌薬による感染予防.
胃十二指腸
管腔に達する手術(たとえば,胃造瘻,膵十二指腸切除)
管腔に達しない手術(たとえば,迷走神経切断術,逆流症治療処置)
高リスク:病的肥満,閉塞,運動性の低下,胃酸減少,出血,がんまたは他の原因による衰弱
胆管
開腹手術(たとえば,胆嚢切除術)あるいは腹腔鏡から開腹手術へ変更する可能性のある場合
腹腔鏡処置(たとえば,胆嚢切除術)
高リスク:>70歳,急性胆嚢炎,無機能胆嚢,閉塞性黄疸,総胆管結石.糖尿病,妊婦,免疫抑制および他の因子.胆管炎は,予防ではなく感染症として治療を行う.
診療ガイドライン:
Am J Health Syst Pharm 70: 195, 2013
.
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
術後感染症の予防-概説
も参照.
病原体
E. coli
Klebsiella
属
Enterococcus
属
頻度は低い:他の好気性グラム陰性菌,他の
Streptococcus
および
Staphylococcus
まれに
Clostridium
属の報告がある
第一選択
胃十二指腸
管腔に達する手術,またはひとつでも高リスク因子がある場合:
CEZ
2g静注1回(体重≧120kgなら3g静注)
胆管
開腹手術または高リスクの腹腔鏡:[
CEZ
2g静注1回(体重≧120kgなら3g静注)]または[
Cefoxitin
2g静注1回]または[
Cefotetan
2g静注1回]または[
CTRX
2g静注1回,確定した感染症に対する治療が必要と考えられる場合のみ]
低リスクの待期的腹腔鏡:予防の有効性は証明されていない
ERCP
閉塞がなければ抗菌薬治療は不要.閉塞があれば,
CPFX
500~750mg経口または400mg静注を処置の2時間前(耐性菌プロファイルから許容できるなら),または
PIPC/TAZ
4.5g静注を処置の1時間前
第二選択
胃十二指腸または胆管手術
[
VCM
15mg/kg(最大2g)静注1回,または
CLDM
900mg静注1回]+[
AZT
2g静注1回,または
GM
5mg/kg(補正体重)静注1回,または
フルオロキノロン系薬
1剤静注1回]
GMの“補正体重"については肥満患者における用量調整を参照
コメント
診療ガイドライン:
Am J Health Syst Pharm 70: 195, 2013
.
ERCP
適切なドレナージの施行が手術後の胆管炎や敗血症の予防に有効であり,抗菌薬予防投与によるさらなる利益はないことが多くの研究で明らかになっている.ドレナージが完全に行われない場合には大きな利益があると考えられる.メタアナリシスでは,抗菌薬は菌血症を減少させるが,敗血症/胆管炎は減少させないことが示された(
Endoscopy 31: 718, 1999
).
ERCPに関する米国胃腸内視鏡学会の推奨については,
Gastrointest Endosc 81: 81, 2015
を参照.合併する胆管炎を治療,胆管ドレナージが不完全な(または不完全と予測される)場合には,予防処方を使用する.
E. coli
の最大40%がABPC/SBTおよびフルオロキノロン系に耐性:
Surg Infect 10: 99, 2009
.
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2017/01/05