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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-乳児,生後1~3カ月
(
2021/3/16 更新
)
臨床状況
生後1~3カ月の乳児の肺炎は,ほとんどがウイルス性だが,細菌性肺炎や
Chlamydia
を含む他の疾患の可能性も考慮する必要がある.
<90日の乳児で,発熱があり肺炎の徴候がある場合には,他の発熱を呈する乳児例と同様に血液培養,血算を行い,腰椎穿刺を考慮する.
血液培養と診断が確定する前に,経験的な抗菌薬治療を始める.
RSウイルス(RSV),インフルエンザ,アデノウイルス,パラインフルエンザウイルス,ヒトメタニューモウイルスに感染した小児は,重症細菌感染を起こすことはまれである.こうした小児で24時間後も血液培養が陰性なら,通常抗菌薬治療は中止してよい.
Chlamydia trachomatis
肺炎は,ほとんどが無熱であり,びまん性の浸潤影,頻呼吸,呼吸困難を伴う.結膜炎と好酸球増多症を合併することがある.
C. trachomatis
肺炎のリスクは,妊娠中のスクリーニングにより減少する.
病原体
RSウイルス
インフルエンザウイルス
パラインフルエンザウイルス3型
ヒトメタニューモウイルス
アデノウイルス
Bordetella属
S. pneumoniae
S. aureus
(まれ)
第一選択
外来患者:
AMPC
90~100mg/kg/日8~12時間ごとに分割,または
AZM
10mg/kg経口1回(最大500mg),その後5mg/kg(最大250mg)経口・4日
入院患者:
発熱のある場合:
CTX
50mg/kg静注6~8時間ごと,または
CTRX
75~100mg/kg静注24時間ごと
無熱の場合:
AZM
初日10mg/kg(最大500mg/日)静注,その後5mg/kg(最大250mg),または
EM
10mg/kg静注6時間ごと
至適治療期間は不明.低所得/中間所得の諸国での研究によれば,短期間治療(たとえば,5日を超えない)で十分な可能性が大きい:
N Engl J Med 383: 77, 2020
.
第二選択
なし
抗微生物薬適正使用
この年齢層ではウイルスが原因であることがほとんどである.抗菌薬は主として非常に重篤,または細菌性感染のエビデンス(たとえば,白血球,CRP,プロカルシトニン上昇,肺葉の硬化,滲出)があって,病原体ウイルスが検出できない場合に用いるべきである
S. pneumoniae
感染が確認されたらAMPCに切り替え,AMPC 80~90mg/kg/日・8時間ごとに分割で治療を完了できる(
Clin Infect Dis 53: e25, 2011
).
コメント
小児の肺炎の病原体に関する大規模研究から,ウイルスの重要性が裏づけられた(
N Engl J Med 372: 835, 2015
).
生後6週未満の乳児でEM投与後に肥厚性幽門狭窄発症の報告がある.AZM(1日2回)では肥厚性幽門狭窄のリスクは低下する可能性があるが,データはない.
大葉性肺炎では,細菌性肺炎として,
S. pneumoniae
をカバーする治療を行う.
S. aureus
はこの年代の病原体としてはまれであるため,経験的処方でカバーする必要はない.
サイトメガロウイルスや
Pneumocystis
のようなまれな病原体が確認された場合は,免疫に関する精密検査を考慮する.
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2021/03/11