日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Bordetella pertussis  (2023/2/14 更新)


臨床状況

  • 3段階の病期がある:
  • 初めに1~2週間のカタル期(めったに診断できない,この段階での治療は有効),
  • その後2~4週間の発作性咳嗽(咳が続いて2週間以降は,どんな治療も効果を示さない),
  • 最後に,1~2週間の回復期.後期での治療は,鼻腔からの菌根絶と疾患の伝播防止のためになされる.
  • Bordetella parapertussisも同様の臨床症状を引き起こすことがある.

診断/分類

診断
  • PCRまたは特別な培地での培養
分類
  • グラム陰性球桿菌
   

第一選択

  • 咳発症3週間以内なら抗菌薬治療が推奨される
  • 咳発症が3週間より以前なら抗菌薬治療は推奨されない.以下の場合は例外:
  • 咳発症が6週間以内の分娩間近の妊婦で,新生児への伝播を防ぐため
  • 喘息,COPD,65歳以上,その他の免疫不全条件がある場合,咳発症後6週間まで
  • 成人:AZM 500mg経口1回,その後250mg経口1日1回・4日,またはCAM 500mg経口1日2回・7日
  • 小児:AZM 10mg/kg/日経口1日目,その後5mg/kg1日1回2~5日目
  • 注:生後1カ月以内の乳児では,AZMに関連した肥厚性幽門狭窄症のリスクがわずかにある
  • 成人:CAM 1g/日経口2回に分割・7日
  • 小児:CAM 15mg/kg/日経口2回に分割・7日
  • CAMの方がAZMより消化管副作用が多い

第二選択

  • 成人:ST 2錠経口1日2回・14日
  • 小児:ST(トリメトプリムとして)8mg/kg/日経口2回に分割・14日
  • STは,生後2カ月以降でAZM,CAMに不耐,またはマクロライド耐性株感染患者での代替選択肢

コメント

  • AZMは,治療期間が短く,投与回数が少なくてすみ,副作用が少ないことから好まれる.
  • 予防の処方と用量は治療の場合と同じ.
  • 予防とワクチンについて:Clin Infect Dis 58: 830, 2014.免疫が生涯続くわけではないため,急性疾患からの回復後は再び予防接種の推奨に従うこと.
  • 妊娠中の母親では予防接種が必要であり,乳児の感染率を71%から17%に減少させる:Clin Infect Dis 60: 333, 2015.
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2023/02/09