日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Mycobacterium chelonae  (2023/04/18 更新)
非結核性抗酸菌


臨床状況

  • 非結核性抗酸菌,迅速発育菌.
  • 創傷,皮膚,軟部組織感染の原因菌で,特に免疫不全患者では播種性感染,肺感染を引き起こす.
  • 専門医へのコンサルテーションが強く推奨される.

病原体

  • Mycobacterium chelonaeM. abscessusとの鑑別のための同定が必要)

第一選択

  • 治療は感受性検査結果に基づく(活性の可能性がある薬剤についてはコメント参照)
  • 皮膚感染:CAM 500mg経口1日2回・6カ月+コメントにあげた他の活性のある薬剤・4~6週
  • 重症の皮膚,軟部組織,骨感染,播種性感染,免疫不全者での感染:最初の2~8週あるいはそれ以上,次の2剤併用療法(より重症の感染では3剤併用を考慮する)を行う:
  • CAM 500mg経口1日2回+TOB 5mg/kg静注1日1回±コメントにあげた薬剤から1剤を追加
  • 次いでCAM 500mg経口1日2回+可能ならば分離株が感受性のある経口薬を1剤追加し,最低6カ月の治療を完遂する,より重症の皮膚および軟部組織感染,骨感染,播種性疾患では12カ月まで,肺疾患では培養陰性となった後12カ月治療する

第二選択

  • CAMに代えてAZM 500mg1日1回を用いてもよいが,CAMの方が活性が高い
  • TOBに代えてAMK 10~15mg/kg静注1日1回を用いてもよい

コメント

  • M. chelonaeに対する活性の可能性がある薬剤とその用量(MICが感受性または中等度耐性となる株のおおよその割合)
  • AMK 10~15mg/kg静注1日1回(58~100%)
  • CAM 500mg経口1日2回(92~100%)
  • CLF 100~200mg1日1回
  • DOXY 100mg経口1日2回(25%)
  • IPM/CS 1g静注1日2回(8~50%)
  • LVFX 500mg静注/経口1日1回(0~50%)
  • LZD 300~600mg静注/経口1日1回(50~100%)
  • MFLX 400mg経口1日1回(0~50%)
  • TZD 200mg経口1日1回(ブレイクポイントは確立されていない,MIC90=2μg/mL)
  • M. chelonaeに対して活性のない薬剤
  • Cefoxitin
  • MEPM
  • ST
  • 膿瘍や広範な病変(可能な場合)では,異物を除去し外科的切除を行う.
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2023/04/18