日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肝膿瘍細菌性  (2024/08/06 更新)


臨床状況

  • 発熱,右上腹部の圧痛.
  • 腹部超音波またはCTで,1つまたは多数の膿瘍がみられる.
  • 細菌性膿瘍が疑われるかまたは確認された場合は,経皮的ドレナージを行う.
  • 化膿性膿瘍の50%に,消化管感染源または基礎疾患としての胆管疾患が認められる.
  • 肝膿瘍は,高度ムコイド型表現型をもつ強毒性のKlebsiella pneumoniae感染の兆候である可能性がある.

病原体

第一選択

  • MNZ 30~40mg/kg/日静注3回に分割8時間ごとまたは500mg経口6~8時間ごと)+(CTRX 2g静注24時間ごと)
  • 治療期間については,抗微生物薬適正使用を参照

第二選択

  • MNZ 30~40mg/kg/日静注3回に分割8時間ごとまたは500mg経口6~8時間ごと)+(CPFX 400mg静注12時間ごと,または750mg経口,またはLVFX 750mg経口/静注24時間ごと)

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間は個々の病原体および患者の免疫機能不全の有無により異なる.大規模対照比較試験がなければ,感染源がコントロールされて生体マーカー(たとえば,プロカルシトニン,CRP,白血球および分画)が正常化するまでは,臨床的反応に基づいて細菌性肝膿瘍の治療を行うのが合理的であり,4~6週が通常の治療期間である.
  • 患者が安定すれば,経口ステップダウンが理にかなっている.
  • 培養結果に基づいて個々の患者に応じた処方を用いるが,化膿性肝膿瘍は多菌性のことが多いため,グラム陰性腸内菌と嫌気性菌の両方をカバーする処方の使用を考慮すること.

コメント

  • 細菌性の場合:CTガイド下の経皮的(好ましい)または外科的ドレナージが実施可能であれば,必ず行う.
  • Yersinia enterocolitica肝膿瘍を伴うヘモクロマトーシス:上にあげた処方はYersinia感染にも有効.
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2024/08/05