日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Yersinia enterocolitica, Yersinia pseudotuberculosis  (2026/04/07 更新)


臨床状況

  • Yersinia enterocoliticaおよびYersinia pseudotuberculosis
  • 家畜および野生動物の人獣共通感染症.汚染された食物や水を摂取した結果,ヒトが偶発的に宿主となることがある.
  • もっとも多くみられる臨床症状は急性下痢疾患(胃腸炎)であるが,重症菌血症を引き起こすこともある.
  • 一般的な症状としては,下痢,腹痛,悪心/嘔吐がある.発熱68%,血便26%
  • 回腸末端および腸間膜リンパ節に炎症を起こし,急性虫垂炎に似た症状を引き起こすことがある.
  • Y. enterocoliticaはY. pseudotuberculosisより多くみられる.
  • 軽症なら抗菌薬治療は不要.
  • 鉄過剰による疾患,たとえば,ヘモクロマトーシス,サラセミアはYersiniaの増殖を刺激し,より重症な感染につながりうる.
  • 時として腸管内,腸管外の多様な症状を引き起こしうる.
  • 咽頭炎の原因となることがあり,発熱性胃腸炎を引き起こす他の細菌(たとえば,Salmonella属)とは区別される.
  • Y. pseudotuberculosisによる猩紅熱様症候群の報告がある.
  • 感染後の免疫学的続発症には結節性紅斑,反応性関節炎,結膜炎がある.

分類/診断

診断
  • 便培養.重症の場合には血液培養.
  • 臨床検査施設での培養は困難:低温増菌培養(cold enrichment)および/またはYersinia選択寒天培地が必要
  • ほとんどの消化管マルチプレックスPCRパネルに含まれている.
  • 消化管マルチプレックスPCRパネルによる診断効率は向上している
  • PCRではY. pseudotuberculosisY. pestisの区別ができないことがある.
分類
  • 通性グラム陰性桿菌

第一選択

  • 重症感染患者,鉄過剰に関連する合併症がある患者,免疫不全の患者のみ治療を行う.
  • 腸炎
  • 通常は自然治癒するため,治療の有用性は示されていない.
  • 重症および/または虚弱な患者であれば,抗菌薬治療が適用される.
  • 成人:CPFX 500mg経口1日2回(耐性についてはコメントを参照)
  • 小児:ST (トリメトプリム成分として)8mg/kg/日2回に分割
  • 菌血症患者
  • 成人:CTRX 2g静注1日1回
  • 小児:CTRX 100mg/kg/日1回または2回に分割,最大用量4g/日
  • GM 5mg/kg静注1日1回を追加することもある
  • 文献では,重症感染の場合は3週間の治療が示唆されている

第二選択

  • 腸炎:ST(トリメトプリム成分として)8mg/kg/日経口を2回に分割
  • 菌血症患者(成人):CPFX 400mg静注1日2回

治療期間/抗微生物薬適正使用

治療期間
  • 腸炎:5日,ただし比較対照試験のデータはない
  • 菌血症:文献では重症感染に対する3週治療が示唆されている.
抗微生物薬適正使用
  • CPFXおよびナリジクス酸への耐性の散発的な報告がある.
  • ペニシリン,ABPC,第一世代セファロスポリン系およびマクロライド系に耐性.
  • 重症患者でも早い反応が得られれば,経口治療への移行が合理的と考えられる.

コメント

  • なし
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2026/04/07