false
日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
カンジダ症-カンジダ血症または播種性
(
2025/10/28 更新
)
好中球減少/非減少患者におけるカンジダ血症,播種性カンジダ症
臨床状況
カンジダ血症,播種性カンジダ症:好中球減少症のない患者,好中球減少症患者
酵母の血液培養陽性で,カテーテルに関連する血流感染が疑われる.
カンジダや他の真菌の細胞壁の多糖体(診断を参照)
播種が疑われる場合(たとえば,血液培養場が陰性でも発熱,複数の定着または感染部位があるなど)
リスク因子としては,広域スペクトラム抗菌薬の曝露,糖尿病または高血糖症,中心静脈栄養,ICU患者,腹部外科手術などがある.
診断/病原体
診断
比色定量的酵素免疫測定法により血清中で検出可能
感度と特異度が低いことが問題.偽陽性が多い.包括的レビュー:
J Clin Microbiol 51: 3478, 2013
1回の検査結果陽性では,その診断的価値は限られている.複数回の陽性判定や結果と矛盾しない臨床症状が必要である.
侵襲性カンジダ症の治療中の定量的モニターは有用である.
血液培養は感度が低い(症例の50%未満).
β-Dグルカン
病原体
C. albicans
C. glabrata
C. krusei
C. tropicalis
C. parapsilosis
C. lusitaniae
C. auris
(コメント参照)
第一選択
経験的治療(下記のコメントも参照)
CPFG
初回70mg静注,その後50mg静注1日1回
MCFG
100mg静注1日1回
Anidulafungin
初回200mg静注,その後100mg静注1日1回
Rezafungin
初回400mg1回,その後200mg静注週1回
特異的治療(種が同定された場合)
いったん血液培養が陰性になり,臨床的に安定すれば,
FLCZ
初回800mg(12mg/kg),400mg静注または経口1日1回
FLCZ
または
VRCZ
に対する感受性が確認され,血液培養が陰性になり,臨床的に安定しない限り,
C. glabrata
に対する治療にはエキノキャンディン系の1剤を用いる.
上記のエキノキャンディン系を用い,血液培養が陰性になり,臨床的に安定すれば,ステップダウン法で
VRCZ
初日6mg/kg1日2回,その後4mg/kg1日2回.
第二選択
好中球減少症のない患者の経験的治療
FLCZ
初回800mg(12mg/kg),その後400mg静注または経口1日1回(軽症~中等症でアゾールによる治療歴なしの場合)
AMPH-B脂質製剤
3~5mg/kg静注1日1回
AMPH-B
0.7mg/kg静注1日1回
VRCZ
初日6mg/kg1日2回,その後4mg/kg1日2回
治療期間:最後の血液培養陽性から2週間.眼球感染では全身治療の期間は4~6週に延長する.
好中球減少症のある患者の経験的治療
AMPH-B脂質製剤
3~5mg/kg静注1日1回
AMPH-B
0.7mg/kg静注1日1回
VRCZ
初日6mg/kg1日2回,その後4mg/kg1日2回
FLCZ
初回800mg(12mg/kg),その後400mg静注または経口1日1回
治療期間
経験的治療:培養および感受性検査の結果が得られたら特異的治療に切り替える
上記処方を参照
コメント
考慮すべき他の重要事項
血管カテーテルを抜去し別の部位にカテーテル挿入.カテーテル維持は高死亡率と関連する(
Clin Infect Dis 54: 1110, 2012
).
真菌性敗血症性血栓静脈炎:カテーテル抜去,切開とドレナージ,必要ならば静脈切除が推奨される.
真菌血症の消失を確認するまで血液培養を繰り返す.
カテーテル関連感染:
眼球感染の評価
眼球感染は,カンジダ血症患者の1.8%で起こるが,アジア諸国のサブグループ解析では3.6%である(
Clin Infect Dis 76: 1738, 2023
).
IDSAは,カンジダ血症患者での散瞳眼底検査のための眼科コンサルテーションを推奨している(
Clin Infect Dis 62: e1, 2016
)が,議論がある(
JAMA Ophthalmol 137: 698, 2019
).検査実施が決定された場合は,好中球減少のない患者では,眼球感染を除外するため,治療開始1週以内に検眼鏡検査を行うこと.異常所見[訳注:脈絡網膜炎のこと]は通常全身治療だけで治癒するが~15%に認められ(
Clin Infect Dis 53: 262, 2011
),眼内炎はまれだった(<2%).好中球減少のある患者では,好中球減少が続いている間は眼科的症状がみられないことがあるため,白血球数が正常化したら検眼鏡検査を行う.眼球感染の治療は,病変の程度,脈絡網膜炎か眼内炎かで異なる.
抗真菌薬治療
ポリエン系またはアゾール系との比較でエキノキャンディン系での生存率が高かったため,第一選択薬とする専門家もいる(
Clin Infect Dis 54: 1110, 2012
).
C. glabrata
感染治療では,FLCZやVRCZの感受性が確認されていない場合にエキノキャンディン系を使用する.
エキノキャンディン系(
CPFG
,
MCFG
,
Anidulafungin
)
エキノキャンディン系は,非
albicans Candida
属の検出率が高い施設では経験的治療として好まれる.
Rezafunginは長時間作用型エキノキャンディンであり,18歳以上の患者でのカンジダ血症および侵襲性カンジダ症治療においてCPFGに非劣性だった(
Lancet 401: 49, 2023
).
FLCZ
C. krusei
が確認されている場合の治療には推奨されない.
C. glabrata
の場合,感受性が確認されないかぎり推奨されない.
VRCZ
C. krusei
に対する経口ステップダウン法や,VRCZ感受性
C. glabrata
以外では,FLCZより優れた点はあまりない(薬物相互作用が多い).
Isavuconazole
Isavuconazoleは,カンジダ血症治療においてCPFGに対する非劣性を示さなかった(
Clin Infect Dis 68: 1981, 2019
).
持続的真菌血症または転移性の合併症を伴わない
Candida
血症に対して推奨されている治療期間は,血流からの
Candida
の消失,
Candida
血症による症状の消失および好中球減少の解消が確認されてから2週間.
Candida auris
は最近同定された多剤耐性の
Candida
種であり,医療施設で重症感染を引き起こす.
米国でも検出例が報告されているが,国際的にはより深刻な流行状況となっている(
Clin Infect Dis 64: 134, 2017
).
分離株を
Candida haemuloni
や
Saccharomyces cerevisiae
と誤認しないよう注意が必要であり,最終的な同定には分子生物学的検査が必要となる.
Candida auris
に関するCDC臨床アップデート.
多くは多剤耐性である:
ほとんどの分離株はFLCZに耐性
AMPH-Bに耐性の株もある
エキノキャンディン系薬に耐性の株は少ない
総説:
Clin Infect Dis 66: 306, 2018
.
C. lusitaniae
はAMPH-Bに耐性のことが多い.
IDSA治療ガイドライン:
Clin Infect Dis 62: 409, 2016
.
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2026 Life Science Publishing
↑ page top
2025/10/28