日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Candida parapsilosis  (2019/12/03 更新)


臨床状況

  • カンジダ血症,播種性カンジダ症:好中球減少症のない患者,ある患者
  • 血液培養で酵母陽性,カテーテル関連の血流感染が疑われる.
  • in vitroの研究ではエキノキャンディン系に対するMICが高いことが明らかになったが,臨床研究では,エキノキャンディン系薬を用いた場合に,他のCandida属に比べアウトカムに差はみられなかった(Clin Infect Dis 58: 1413, 2014).

病原体

  • Candida parapsilosis,侵襲性Candida感染の原因

第一選択

  • 経験的治療:
  • CPFG 初回70mg静注,その後50mg静注1日1回
  • MCFG 100mg静注1日1回
  • 標的治療:
  • FLCZ 初回800mg(12mg/kg),その後,血液培養が陰性化し臨床的に安定したら400mg静注/経口1日1回

第二選択

  • 経験的治療
  • AMPH-B脂質製剤3~5mg/kg静注1日1回
  • AMPH-B 0.7mg/kg静注1日1回
  • VRCZ 6mg/kg1日2回・1日目のみ,その後4mg/kg1日2回
  • PSCZ徐放剤300mg(3×100mg錠)経口/静注1日目,その後300mg経口/静注1日1回

抗微生物薬適正使用

  • 抗真菌薬
  • エキノキャンディン系(CPFG,MCFG,Anidulafungin):エキノキャンディン系はポリエン系,アゾール系と比べてより良好な生存率に関連しており,一部の専門家は第一選択薬と考えている(Clin Infect Dis 54: 1110, 2012).
  • VRCZ:FLCZ感性分離株では,FLCZ以上の有用性はない(薬物相互作用が多い).
  • 持続的な真菌血症や他臓器の合併症がないカンジダ血症に対しては,治療期間は血流からのCandida消失,カンジダ血症に起因する症状の解消,好中球減少症の解消から2週間.

コメント

  • 真菌血症消失を確認するために血液培養を繰り返す.
  • 眼病変の評価:
  • 好中球減少のない患者:眼病変がないことを確認するために治療1週間以内に眼底検査を行う.通常全身性治療だけで治癒する眼所見は患者の~15%で起こり(Clin Infect Dis 53: 262, 2011),眼内炎はまれである(<2%)
  • 好中球減少症患者:好中球減少症がある間は,眼病変の徴候がみられないことがあるため,白血球回復後に眼底検査を行う.
  • 眼病変の治療は病変の程度,網脈絡膜炎か眼内炎かによって異なる.
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2020/10/06