日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Candida auris  (2024/05/14 更新)


臨床状況

  • Candida aurisは,以下の要因により特に懸念されているCandida種である:
  • 抗真菌薬耐性,特にアゾール薬耐性が多い:
  • FLCZに対する耐性は86~100%と報告されている
  • 43%の株はAMPH-Bに耐性
  • エキノキャンディンに対する耐性は2~5%と報告されている
  • 無症候性の定着,カンジダ血症,膿瘍など,多くの臨床疾患を引き起こしうる.
  • 現在,C. auris感染症は世界的に拡大しており,米国を含む30カ国以上で検出されている.

分類

  • C. aurisは他の種と誤って同定されることが多く,これは使用される検査方法による.
  • 確定的な同定は,MALDI-TOFや他の分子的手法によれば可能.詳細は下表を参照(CDC-C. auris検出法から改変).
同定方法
誤ってC. aurisとされうる微生物
Vitek 2 YST
Candida haemulonii
Candida duobushaemuloni
API20C
Rhodotorula glutinis(赤色がないことが特徴)
Candida sake
BD Phoenix yeast identification system
Candida haemulonii
Candida catenulata
MicroScan
Candida fumata
Candida guilliermondii
*
Candida lusitaniae*
Candida parapsilosis*
RadID Yeast Plus
Candida parapsilosis*

*C. guilliermondiiC. lusitaniaeC. parapsilosisは通常はコーンミール寒天培地上に仮性菌糸を形成する.C. aurisは菌糸や仮性菌糸を形成しないので,コーンミール寒天培地上にそれらがみられない場合はC. aurisの可能性が高い.ただし一部のC. aurisは菌糸や仮性菌糸を形成する.
したがって,MicroScanで
C. guilliermondiiC. lusitaniaeC. parapsilosisが同定された場合や,RapID Yeast PlusでC. parapsilosisが同定された場合は,C. aurisの可能性もあるためさらなる同定検査を考慮する.


第一選択

  • CPFG 初回70mg静注,その後50mg静注1日1回
  • MCFG 100mg静注1日1回

第二選択

  • AMPH-B脂質製剤の使用は抗真菌MIC検査結果に基づく:
  • AMPH-B MIC≧2μg/mLなら使用しない
  • アゾール系抗真菌薬の使用は抗真菌薬MIC検査結果に基づく:
  • FLCZ MIC≧32μg/mLなら使用しない.FLCZ耐性の場合,他のアゾール薬の有効性は不明のため,MIC検査を行い感染症専門医にコンサルテーションする.

抗微生物薬適正使用

  • C. aurisの定着が検出された患者を抗真菌薬で治療すべきか?No. 推奨されず,将来の抗真菌薬耐性につながるおそれがある.

コメント

  • C. auris感染/定着がある患者に対し,CDCが推奨する感染制御方法:
  • 患者を個室に入院させ,標準的な接触感染予防策を用いる(入院期間中)
  • 手洗いの遵守を徹底
  • 患者の治療環境および再利用器具の清浄と消毒を,推奨された手段で行う(毎日および退院時の洗浄)
  • 他の医療施設に搬送する場合には,患者のC. auris感染に関する情報を施設間で伝達する
  • C. auris定着を検出するために,新たに検出された患者との接触者をスクリーニングする
  • 感染の広がりを把握するために,新規症例を監視する
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2024/05/13