日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Mycobacterium chimaera  (2023/12/05 更新)
非結核性抗酸菌,M. chimaera,熱交換機


臨床状況

  • HCU(特にLivaNova 3T HCU)で生成された汚染エアロゾルにより菌が伝播される.
  • 感染のほとんどは術後2年以内に明らかになるが,潜伏期間が5年に及ぶこともある.
  • 感染のタイプには,脈絡網膜炎,心内膜炎,胸骨感染,グラフト感染,播種性感染がある.播種性脳炎を伴う3症例:評価と治療の推奨されるステップを含む(Clin Infect Dis 70: 692, 2020).

病原体

  • Mycobacterium chimaera

第一選択

HCU関連感染を含む重症例(Clin Infect Dis 68: 1244, 2019参照):
  • 以下から選択される4~5剤の処方・MAC治療と同様(コメント参照)
  • AZM 500mg静注/経口1日1回,またはCAM 500mg経口1日2回
  • RFP 600mg静注†/経口1日1回,またはRBT 300mg経口1日1回
  • EB 15mg/kg経口1日1回
  • AMK 15mg/kg静注1日1回または週3回(最初の処方を含む,それ以降は忍容性に応じて)
  • MFLX 400mg静注†/経口1日1回
  • LZD 600mg経口/静注1日1回または2回
  • ベダキリン400mg経口1日1回・2週を初期投与として,その後200mg経口週3回(24週を超える使用についての研究はない)

(†:日本にない剤形)

第二選択

HCU関連や播種性でない軽症例:

コメント

  • すべての分離株はCAMに感性(AZMは検査せず)
  • 98%はAMKおよびSTに感性
  • 91%はEBに感性
  • 82%はRFPに感性
  • 52%はMFLXに耐性
  • 39%はLZDに耐性
  • 薬剤関連の有害事象が多い.以下のようにモニターする:
  • 月に1回血算,代謝関連,炎症性マーカーの検査を行う
  • AMKの投与中:血清クレアチニン検査を週1回,オージオグラムを月1回,前庭徴候および症状の確認を月1回
  • EB:色覚検査を開始時,その後3~6カ月ごとに行う
  • ベダキリン:QT間隔を心電図により開始時,2,12,24月後,MFLX併用の場合には週1回モニターする.心電図検査で繰り返しQTc>500msなら治療中止.
  • LZD:血液学的毒性および神経障害(特に視神経障害)をモニターする.
  • 死亡率は高く50%に達し,とくにHUC関連感染例では治癒しないこともある.
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2023/12/04