日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

扁桃周囲膿瘍  (2025/12/23 更新)


臨床状況

  • 扁桃周囲膿瘍(quinsy:扁桃周囲炎)は,扁桃と扁桃被膜の間の膿瘍として発症する深頸部感染症の1つである.
  • その他の深頸部感染症:咽頭後膿瘍,副咽頭間隙膿瘍
  • 本症は,急性扁桃炎の合併症として,または口腔衛生不良,免疫不全,ヘビースモーカーで,急性疾患がなく特発性に発症することがある.

診断/病原体

診断
  • 身体検査を行い,CTスキャンで確定診断
病原体
  • まれな分離菌:
  • 多剤耐性好気性グラム陰性桿菌はまれだが報告がある
  • その他の嫌気性菌

第一選択

  • 外科的ドレナージとデブリドマンが必要になることが多い.外科医にコンサルテーション.
  • 経験的治療:ABPC/SBT 3g静注6時間ごと

第二選択

  • MNZ 500mg静注6~8時間ごとまたは1g静注12時間ごと+CTRX 2g静注1日1回
  • 重症ペニシリンアレルギーの場合は,CLDM 600~900mg静注8時間ごと

抗微生物薬適正使用

  • Fusobacterium属では耐性であることが多いため,AZMは避ける.

コメント

  • 起こりうる重大な合併症:感染性頸静脈炎(Lemierre症候群)および/または頸動脈への浸潤とそれによる出血
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2025/12/22