日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

再発性尿路感染症の予防,女性  (2024/07/09 更新)
再発性膀胱炎・尿道炎の予防


臨床状況

  • 女性における尿路感染症(UTI)再発:膀胱炎,尿道炎.
  • 若年者:年3回以上の培養陽性.
  • 閉経後女性:年3回以上の培養陽性+症候性UTI,または6カ月間で2回のUTI

病原体

第一選択

  • 閉経前女性
  • 殺精子剤を避ける
  • 性交後抗菌薬:性交後すぐに以下の薬剤のいずれかを1回(JAMA 264: 703, 1990
  • ST 400mg/80mg
  • 閉経後女性
  • 腟内エストロゲン:0.5mg エストリオールクリーム†腟内塗布1日1回・2週,その後維持治療として週2回(N Engl J Med 329: 753, 1993).
  • 性交後抗菌薬:性交後すぐに以下の薬剤のいずれかを1回(JAMA 264: 703, 1990
  • ST 400mg/80mg

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • 上記処方で無効で,QOLの大幅な低下および/または入院を繰り返す場合には,多くみられる原因菌に対して有効な抗菌薬による予防を期間限定で考慮する(Lancet Infect Dis 18: 957, 2018).処方者は,病原菌の抗菌薬耐性増大リスクとベネフィットのバランスをとらなければならない.処方には以下のいずれかを用いうる.
  • 1日1回処方
  • ST 200mg/40mg1日1回または週3回
  • CEX 250mg1日1回
  • 週1回処方

コメント

  • UTI予防に有効性が示されなかった処方
  • 腟内プロバイオティクスは有用かもしれない.Lactobacillus crispatusのプロバイオティクス腟坐剤を週1回10週用いたランダム化プラセボ対照試験では,プロバイオティクスは再発を50%減少させることが示された(Clin Infect Dis 52: 1212, 2011).また他の研究(Clin Infect Dis 78: 1154, 2024)では,膣内Lactobacillusを含む処方での治療を受けた女性は,プラセボまた経口Lactobacillus単独治療の女性と比べて,4ヵ月での尿路感染症再発が抑制されたことが明らかになった.
  • 排尿障害を伴わない血尿,血清クレアチニン上昇,Proteus感染の再発,失禁/残尿がある場合は,泌尿器科的評価/画像診断を考慮
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2024/07/09