日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

結膜炎-新生児  (2024/03/19 更新)
新生児結膜炎,治療と予防


臨床状況

  • 新生児の結膜炎:新生児眼炎(ophthalmia neonatorum).用量はすべて小児用量.
  • 鼻涙管閉塞,化学刺激,あるいは感染による眼脂分泌がみられることがある
  • 治療せずにおくと,特にN. gonorroeae感染の場合は失明につながる.
  • 分娩後の日数で病原体が推定できる.
  • 分娩当日発症:硝酸銀の予防使用による化学的なもの(現在では推奨されない.第一選択参照)
  • 2~5日に発症:N. gonorrhoeae 感染(多くの場合非常に膿の産生が多い)
  • 5~14日に発症:Chlamydia 感染(ときとして肺炎が発症することがある)
  • 2~16日に発症:単純ヘルペス感染
  • グラム染色は非常に有用なことがある

病原体/診断

病原体
診断
  • N. gonorrhoeae :グラム染色でグラム陰性双球菌の検出.適切な培地で培養する.
  • C. trachomatis :結膜切片での核酸抗原または抗原の検出.
  • 単純ヘルペス:結膜のPCR(好ましい)またはウイルス培養.直接蛍光抗体法は迅速だが感度が低い.

第一選択

  • 単純ヘルペス眼炎が疑われる小児では,髄液と血清のPCRおよび肝機能検査により全身疾患,中枢神経系疾患を評価する.新生児ヘルペスを参照
  • 予防:硝酸銀1%:現在では推奨されない.
  • 治療
  • アシクロビル60mg/kg/日静注1日3回に分割が新生児の単純ヘルペス感染に対して推奨されている.
  • 局所抗ウイルス治療(たとえばTrifluridineまたはビダラビン)は眼科医の指導のもとに行うこと.
  • 分娩当日発症:通常治療は適応とならない
  • 2~5日に発症(N. gonorrhoeae):CTRX 25~50mg/kg静注1回(125mgを超えないこと).通常入院の適応となる.Chlamydiaの検査を行い,治療する.
  • 3~10日に発症(C. trachomatis):EMまたはエチルコハク酸シロップ 50mg/kg/日6時間ごとに分割・14日,またはAZM懸濁液†20mg/kg経口24時間ごと・3日.経口治療の方が局所治療より好ましい.
  • 2~16日に発症(単純ヘルペス)
  • 予防
  • C. trachomatis に対する全般的な有効性はないが,淋菌性眼炎は予防しうる.
  • EM 0.5%眼軟膏1回,または
  • TC 1%眼軟膏1回

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • なし

抗微生物薬適正使用

  • Chlamydia未治療の女性から生まれた乳児は高リスクだが,予防的治療は推奨されない(Am Acad Ped Red Book 2018参照).注意深くモニターすること.フォローアップが難しければ,感染しているものとして治療を行う.
  • 出産時に活動性のN. gonorrhoeae頸管感染があった母親からの乳児では,無症状でも治療を行う.

コメント

  • N. gonorrhoeae感染
  • 母親とそのセックスパートナーを治療.
  • 乳児では多くの場合膿の産生が非常に多い.
  • 局所治療では不十分.
  • C. trachomatisの治療も同時に行う.
  • Chlamydia感染
  • 母親とそのセックスパートナーも治療.
  • 単純ヘルペス(1型,2型):角膜炎も参照.
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2024/03/18