日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

角膜炎-ウイルス性  (2024/04/09 更新)
ウイルス性角膜炎,角膜の感染


臨床状況

  • 角膜のウイルス感染.
  • H. simplex (HSV)感染では蛍光色素染色で樹状の上皮病変がみられる.

病原体

  • 単純ヘルペスウイルス(1型,2型)
  • 水痘・帯状疱疹ウイルス
  • アデノウイルス

第一選択

  • 単純ヘルペスウイルス:Trifluridine点眼 1~2時間ごとに1滴,最大1日9滴・再角質化まで,その後4時間ごとに1滴最大1日5回,全治療期間21日まで.
  • アデノウイルス:対症療法.有効性が証明されている抗ウイルス薬はない.1%Providone-iodineと0.1%デキサメタゾンの点眼治療が有効であることが示された(ステロイド点眼を行う場合には,つねに眼科専門医に意見を求め,その指示に従うこと).

第二選択

  • 単純ヘルペスウイルス
  • ガンシクロビル0.15%ゲル† 患眼に1滴1日5回・角膜潰瘍が治癒するまで,その後1滴1日3回・7日

(†:日本にない剤形)

コメント

  • 2年以内の再発率は約30%.
  • 重症患者や免疫不全患者には,単純ヘルペスウイルスに対する経口治療の追加を検討する.たとえばアシクロビル 400mg経口1日5回.
  • 水痘・帯状疱疹ウイルス:
  • 通常臨床所見により診断する.三叉神経眼枝の水痘・帯状疱疹患者では蛍光色素染色で樹状に染色される.
  • アデノウイルス:
  • Cidofovir点眼は1週間を超えて用いると,まれに涙小管閉塞に関連することがある.
  • 耐性が懸念される.
  • Zalcitabine局所投与が研究されている.
  • 治療は必ず眼科医の管理下で行うこと.
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2024/04/08