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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
感染性心内膜炎-
S. aureus
(
2024/01/30 更新
)
心内膜炎,
S. aureus
の培養陽性
臨床状況
S. aureus
による感染性心内膜炎の特異的治療.
心内膜炎の所見/症状.
血液培養で
S. aureus
陽性.感受性試験の結果が得られている.
MRSAでの治療失敗については
菌血症-
S. aureus
による
を参照.
病原体
Methicillin感受性
Staphylococcus aureus
(MSSA)
Methicillin耐性
Staphylococcus aureus
(MRSA)
第一選択
MSSA
自己弁:(
Nafcillin
または
Oxacillin
)2g静注4時間ごと・6週
三尖弁,合併症なし:(
Nafcillin
または
Oxacillin
)2g静注4時間ごと・4週
人工弁:(
Nafcillin
または
Oxacillin
)2g静注4時間ごと・6週以上+
RFP
600~900mg/日経口または静注†を2~3回に分割・6週以上+
GM
1mg/kg静注8時間ごと・2週
MRSA
自己弁:
VCM
15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)・6週
人工弁:
VCM
15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)・6週以上+
RFP
600~900mg/日経口または静注†2~3回に分割・6週以上+
GM
1mg/kg静注8時間ごと・2週
(†:日本にない剤形)
第二選択
MSSA
CEZ
2g静注8時間ごと・6週
VCM
15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)・6週(ペニシリンまたはセファロスポリンの重症アレルギーの場合のみ)
DAP
8~12mg/kg 24時間ごと・6週
MRSA
DAP
8~12mg/kg 24時間ごと
抗微生物薬適正使用
AUCの方がトラフ値よりもVCMの目標設定として望ましい(
Am J Heart Sys Pharm 77: 835, 2020
).
コメント
第一選択:
MSSAにはNafcillin(または他の抗
Staphylococcus
ペニシリン系薬)またはCEZ(抗
Staphylococcus
ペニシリン系薬との比較については
Antimicrob Agents Chemother 55: 5122, 2011
;
Clin Infect Dis 59: 369, 2014
;
J Antimicrob Chemother 70: 1539, 2015
参照).
MRSAにはVCMまたはDAP(
JAMA 312: 1330, 2014
).
FDAはDAPを右心系心内膜炎および菌血症に承認した.症例シリーズでは,左心系心内膜炎に対するDAP高用量8~12mg/kg 24時間ごとの安全性および有効性が示唆されている(
J Antimicrob Chemother 68: 936, 2013
;
J Antimicrob Chemother 68: 2921, 2013
;
J Infect Chemother 19: 698, 2013
;
Antimicrob Agents Chemother 57: 6213, 2013
).
米国心臓協会(AHA)の推奨:
Circulation 132: 1435, 2015
.
低用量GM(1mg/kg 8時間ごと)は,わずか数日間でも腎毒性があるため,人工弁感染以外には推奨されない(
Clin Infect Dis 48: 713, 2009
).
VCMおよびDAP非感受性株による感染やMRSAによる心内膜炎に対して
Telavancin
が奏効したという症例報告がある(
J Antimicrob Chemother 65: 1315, 2010
;
Antimicrob Agents Chemother 54: 5376, 2010
;
J Antimicrob Chemother 66: 2186, 2011
).
心内膜炎を含むMRSA血流感染に対し,Ceftarolineを単独,および(おもにDAPと)併用で使用した報告(
J Antimicrob Chemother 67: 1267, 2012
;
Antimicrob Agents Chemother 61: e02015-16, 2017
;
Open Forum Infect Dis 4: ofx084, 2017
).
最近の文献において,
S. aureus
による心内膜炎のリスク因子,心内膜炎で最も多い原因菌としての
S. aureus
,および
S. aureus
と医療関連心内膜炎との関係が記述されている:
Clin Infect Dis 54: 1230, 2012
.
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2024/01/29